エレクトロニカ・ミュージック分野で自らmango + sweet riceレーベルを設立し、既存の常識にとらわれない斬新な音楽創りで、特に海外で人気を集めているアーティスト「coppé (コッペ)」さんが来校。レコーディングクリエイター科(平成29年より音響芸術科)学生とともに新たなレコーディングにチャレンジしました。
いつの時代でも社会の常識を破ることで新しいモノが生まれます。音楽はいつも時代の先導に立って、新しい文化を創り出して来ました。しかし音楽が商業として成り立っている今、音楽を単に「作り方」として学べば、音楽が本来もつ「大切なもの」を失いかねません。たまには既存の「作り方」をぶち壊して、面白いことやってみよう。コッペさんの斬新なアイディアに学生たちが賛同して、新しい試みにチャレンジしました。創造の主役はいつも若者たち。音楽創りの現場は、本来そういった情熱(パッション)に、いつも満ちあふれているものです。1年間の授業が修了した春休み、これまで学んだことが、どこまで通用するのか?学生たちにはよい機会になったのでないでしょうか。
1度で70本ものマイクを使ってレコーディング。
本校が今年で創立70周年を迎えることから、コッペさんから70本のマイクを使用してのレコーディングを提案。ボーカルとベースのDUOでのレコーディングで、これだけのマイクを同時に使うことは通常ありません。いわば桁はずれの要求です。写真左が、コッペさん。
レコーディングスタジオは、マイクスタンドとケーブルだらけ。スタジオにあるほとんどのマイクを持ち出しラインに接続しようにも、常設のコンソールではラインが足りず、小型の卓上コンソール「ベリンガー」を複数台連結。
ボリュームレベルを合わせるのもひと苦労。
レコーディングスタジオにこれだけのマイクとスタンドが設置されれば、ノイズと位相のズレが起こります。このような状況ではコンソール上のすべてのラインでのボリュームやバランスを合わせるのもひと苦労、AD(アナログ→デジタル)変換する際もPro Toolsでのバランス取りも慎重さが要求されます。これらのセッティングとコントロールを学生たちがすべて担当。戸惑いながらも、これまでの実習では経験できなかったチャレンジに、学生の目も輝いていました。これまで学んだ基礎がベースにあってこそできるものと感じます。
今回のレコーディングの中心となって動いていた音響芸術科 レコーディングエンジニア専攻1年生の「世利 輝」さん。一通りレコーディングを終えて感想を聞いてみました。70本ものマイクを使ってレコーディングするのは初めてのことで、バランスがなかなかとれず一人で調整するのは難しかった。しかし学生スタッフ一人ひとりがレコーディングの基礎技術を共有できていたことで乗り越えられたことは大きな自信につながりました。チームワーク大切ですね。アーティストの要求にも冷静に応えることができたし、これだけの経験ができれば、今後の実習に大きな余裕が生まれ、作品づくりのクオリティも上がるのではないでしょうか。一見70本は無謀とも思えるけど、現場の空気感や臨場感はよく録たれのでは?ミックスが楽しみと、意外にも冷静に答えてくれました。
*世利輝さんは、2015年度一般社団法人「日本オーディオ協会」主催 学生の制作する音楽録音作品コンテストにおいて「音楽賞」を受賞。
このレコーディングでは、教師が全面に出て指導する光景はほとんどなく、学生が率先してのびのびと作業に打ち込んでいる姿が印象的でした。このような過酷な状況にこそ、普段の教育の成果が顕れるものですね。
今回のレコーディングは24Bit/96KHzで録音。ミックスの後、Youtubeなどで公開を予定しているそうです。お楽しみに
音楽が大好き、レコーディングに興味ある方はぜひ、オープンキャンパス+体験入学に参加して、レコーディングを体験してみてください。
◎ mango + sweet rice 「coppé」Offical Site.
http://www.sweetrice.com
◎ 音響芸術科
https://www.neec.ac.jp/department/music/recording/