その情熱、実現させよう。



SPECIAL対談 サッカーを通じて考える「夢」、そしてさまざまなこと 国際主審・本校OB 西村 雄一氏×日本工学院専門学校 学校長 千葉 茂

vol.2 ジャッジとは「自分を信じ、勇気を持って決断を下す」こと

高校時代からサッカー審判の経験を積み、独学で審判について勉強されていたと言う西村さん。就職をしてからも、週末には審判を務め、夏休みや冬休みなど、仕事が休暇の時には研修を受けるなどして、審判員としてのスキルアップをしてきたそうです。そのように大変な努力をして現在、プロの審判員として活躍されている西村さんに、「サッカー国際審判」という仕事について、いろいろお聞きしてみました。

学校長
:西村さんのワールドカップでのご活躍のおかげで、サッカーの審判員という職業がそれほどサッカーについて詳しくないような方たちの話題にも上るようになり、一躍脚光を浴びましたね。ところでサッカー審判員の資格にはどういったランクといいますか、ライセンスのシステムがあるんですか?
西村
:現在、審判員には日本サッカー協会が定める審判資格が4級から1級まであるんですが、学校長は、審判員というのは全部で何人くらいいると思われますか?
学校長
:日本中でですか? う〜ん、ちょっと想像つかないけども… 4千人くらいですか?
西村
:いえいえ、じつは日本でサッカー協会に登録しているサッカーの審判員は約20万人いるんです。
学校長
:すごい人数ですね!
西村
:これには少年サッカーの審判をする父兄なども含まれています。そしてその中で1級審判員の資格を持っているのは144人。さらにその中には7名の国際主審がいます。私はその中の1人ですね。プロとして活躍する審判員は、3人のアシスタントも含めて日本国内に13人です。(2011年)

学校長
:国際審判となりますと、あらゆる国に行ってお仕事されていると思いますが、今まで何カ国ぐらい行かれてますか?
西村
:多分20カ国は超えていると思います。主なところでは、中東ですとサウジアラビア、バーレーン、クウェート、イラン、カタール。ヨーロッパではポーランド、そして東南アジアがマレーシア、インドネシア、タイ、インド、中国、韓国…。
学校長
:一昨日までのクラブワールドカップで行っていらしたのがアラブ首長国連邦のアブダビで。
西村
:実は私たち国際審判員のアジアでの主な拠点は中東なんです。
学校長
:どのくらいの期間滞在されるんですか?
西村
:今回のクラブワールドカップ、アラブのアブダビには20日間行ってました。ワールドカップが43日間でしたから約半分ですね。
学校長
:いろいろな開催国で、いろいろな国の選手を相手に審判をされていますが、言葉の問題はどうですか?英語で全部通じるんでしょうか?
西村
:滞在している間のいろいろな生活や、試合の打ち合わせなどはもちろん英語を使いますが、ピッチ上に入ったら審判員に言葉はいらないんですよ。
学校長
:え、そうなんですか?
西村
:正しい判定をしてそれを示すシグナルとカードを示せば、選手には伝わるんです。基本的には言葉よりもそれの方が重要です。逆にピッチ上では言葉ではうまく伝わらないことが多いんです。
学校長
:アマチュアの試合と違って、プロの試合では各国にスター選手がたくさんいるわけですが、やはりメッシやカカなどのスター選手に警告を出すというのは勇気がいるんですか?
西村
:と、思われがちなんですが、アマチュアであろうとプロであろうと基本的に選手はみな同じなので。ゲームをジャッジするのに、その選手が誰だから、と言うのは考えていません。カードを出したのは選手のその行為がカードに値するわけであって、その選手、人間が悪いわけではない。行為に対しての判定をしているだけですから。青い10番と思えば(笑)
学校長
:その筋の通ったジャッジゆえに、イエローカードをいっぱい出して退場者を出しても公正な審判だったとして世界中から認められてるわけですね。
西村
:今回のワールドカップでも、サッカーファンの多くのサポーターの方は、ただ、応援するチームに肩入れするというのではなく、しっかりと正しい判定を受け入れてくれるってことがよくわかりました。もちろん、逆に間違った判定にはとことん納得してくれません。ですから、現場でたくさんの選手から文句いわれようと、よく冷静に見て、正しいことを貫くことを一番大切にしなければいけないんだと思います。
学校長
:お客さんのためを考えるということは、まず公正であるってことが一番ですよね。
西村
:そうですね。お客さんももちろんですが、その前に選手のためにニュートラルな存在でいるというそこが大事ですね。

学校長
:アマチュアの世界からプロへ、そして世界を舞台として活躍するまでにステップアップされてきた西村さんですが、自分の仕事をステップアップ、スキルアップしていくうえで必要なものは何でしょうか?
西村
:そうですね、大事にしているのはポジティブモチベーション。前向きな意欲がベースになければいけないなと思います。ただ、審判の仕事について言えば、この世界でステップアップしていくためには運とタイミングも必要だと思います。決して自分の努力だけで上手くいくということではないのが難しいところですね。
学校長
:試合を担当させてもらうために自分を積極的にアピールしていくようなことはするんですか?
西村
:それはないですね。私たち審判員というのは基本的に選手が輝くための下支えだという立ち位置でやってきましたので。そこに対して地道にやってくると、誰か評価してくれる人が次のステップにあげてくれる。
学校長
:なるほど。
西村
:与えられた現場を一つ一つしっかりとやって経験と実績を積みあげていく。結果は後からついてくるのだと思います。
学校長
:現在、西村さんが審判員として大事にされているもののプライオリティは何ですか?
西村
:私は「決断力」が大事だと思っています。審判に必要なのは正しい判断をし、決断をする能力です。やはりいろんなプレッシャーがあったり、逆サイドの考えが入ってくると決断が鈍るんですよ。正しい判断をしていると「自分を信じること」、そしてそれに対して「勇気を持って決断を下す」。これは審判の場だけではなく、人生のいろいろな場面で必要になってくる大事なことではないでしょうか。

〈次回 Vol.3「夢を見つけるということ、夢を叶えるということ」に続く〉

コラム「西村主審に聞く”ワールドカップの秘密”」

Q:ワールドカップでは試合後、ユニフォームを相手チームと交換しますが、選手はユニフォームをたくさん持っているのですか?
ワールドカップの試合で選手が着るユニフォームには、胸にそのゲームの対戦国の名前や日付が入っているため、着るのはその試合限り、一回だけ。ですから試合終了後にユニフォームを脱いで交換できるんです。洗濯して次に使ったりはしないんです(笑)あとボールにも同じく対戦国の名前と日付などが入っていて一試合専用です。試合終了後、チーム関係者から記念品として審判員も担当したチームのユニフォームをいただくことがあります。

西村雄一氏 プロフィール

  • 1994年 日本工学院専門学校(旧 日本電子工学院専門学校)卒業
  • 2004年 国際審判員(主審)登録
  • 2010年 FIFAワールドカップ(南アフリカ)決勝
  • FIFAクラブワールドカップ決勝
  • 国際Aマッチ 32試合、国際試合総数 121試合
  • J1総試合数<主審>136、J2総試合数<主審>54
  • 2007年 キャプテン賞、2009年 Jリーグ優秀主審賞を受賞、
  • 2010年 Jリーグ優秀審判賞、2011年日本サッカー協会会長賞
  • (2011年1月31日現在)

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SPECIAL対談 国際主審・本校OB 西村 雄一氏×日本工学院専門学校 学校長 千葉 茂
vol.1 世界のピッチにつながったさまざまな出会いと経験
vol.2 ジャッジとは「自分を信じ、勇気を持って決断を下す」こと
vol.3 夢を見つけるということ、夢を叶えるということ