その情熱、実現させよう。



SPECIAL対談 サッカーを通じて考える「夢」、そしてさまざまなこと 国際主審・本校OB 西村 雄一氏×日本工学院専門学校 学校長 千葉 茂

vol.3 夢を見つけるということ、夢を叶えるということ

「サッカー国際審判」として、日本で、そして世界で活躍されている西村さん。サッカーの世界ではもちろん、その他のさまざまな場面でも多くの出会いがあり、とてもたくさんの経験をされています。そんな西村さんとのお話は、サッカー選手の技術の話から、日本人の資質、夢を持つことといった話へと大きく広がっていきました。

学校長
:ワールドカップの試合を見ていて思ったんですが、あのようにさまざまな国の選手が活躍しているのを見ていると、おのずと日本人と他の国の選手を比べて見てしまいますね。特にフリーキックを見ていると日本人の足先の繊細さと言いますか、その技術力の高さを感じたんですが。
西村
:そうですね、ワールドカップではフリーキックから得点を決めた選手っていうのはそう多くないんですよ。そんな中、日本の選手が二人、本田選手と遠藤選手がフリーキックを決めているんです。やはりそれは、彼らがワールドカップに出場していた他のどの選手よりもフリーキックの練習をしてきたからではないかと思います。
学校長
:日本人というのはとても真面目ですし、そして器用ですよね。私は日本の物づくりの素晴らしさは、そういったものが根底にあるからではないかと思ってるんですが、日本の選手のサッカーを見ると、そこにも物づくり精神が表れているような気がするんです。
西村
:そうですね、職人技ですね。
学校長
:やはり国によって選手の違いというのはありますか?
西村
:もちろんあります。たとえばアフリカの選手はハングリー精神が並大抵ではありません。それには理由があるんです。アフリカの試合では、ピッチ上でファウルによって倒されてもなかなか笛が鳴りません。
学校長
:えっ、どうしてですか?
西村
:それはアフリカにはまだ正しく判定できる良いレフリーが少ないからです。ですから選手たちとしてはファウルされても、そこで立ち止まってアピールするより、相手のゴールに入れた方が得策なんです。多くのアフリカの選手はヨーロッパのリーグで活躍していますが、これは彼らがメンタリティーの強さで他の選手たちより勝っているからでしょう。激しいタックルを受けても物ともせずに、前に行ってゴールを決める彼らのハングリー精神が買われているからです。
学校長
:選手が育つ環境も、国によっていろいろなのですね。それではその中でも一流選手と呼ばれる選手というのは、他の選手と何が違うんでしょう?
西村
:持って生まれたものと、あとはやはり努力でしょうか。
学校長
:努力といえば、今、学生たちは勉強や就職に対する意欲が薄くなっている気がするんです。それは世の中が不況や就職難など負の要素ばかりで、努力しても報われないという気持ちが大きく、自分のより良い未来を思い描けないからでしょうか。たしかに私から見ても今の社会が、夢を持ちにくい社会になってきているのは感じるのですが。

夢を大きく持つことも大事ですが、夢は身近にもたくさんあるんです

西村
:実は私もずっと夢を見つけられないで来た人間なんです。ただ、審判というものを続けていくうちに、自分が審判としてステップアップしていく事を、楽しみにしてくれる周りの方々が増えてきたんです。そしてその人たちは、私が成長していく事が夢だということを聞いて、そんな人の夢を叶える事を夢とするのも良いのではないかと思ったんです。また、自分のコントロールするゲームの中で、選手たちが素晴らしいプレーをして輝き、選手が夢を叶える。それも同じですね。ですから、学生の皆さんも、自分の夢が見つからなくて迷っても、たとえばご両親や先生が自分の将来に期待している、まずはそれに応えるのを自分の夢にしても良いのではないかと思います。
学校長
:そうですね。周りの人との関係、その人に必要とされるってことが、前進するためのとても大きなモチベーションになりますからね。
西村
:夢を大きく持つことも大事ですが、見つからなければ小さなことで良いと思います。夢は身近にたくさんあるんです。何でもいいですから、好きな事があったら全力でぶつかっていけば、そこにまた次の夢が生まれてくる。それを続けていけば前進していけますね。ただし全力で行かないと、結果上手くいかなかった時の納得度に違いが出てくる。あそこでちょっとさぼったからなぁ、というと悔いが残るんです。全力でやっていれば、上手くいかなくても悔いは残らない。
学校長
:立ち止まっている若い方たちにとって、とても力を与えてくれる言葉ですね。ありがとうございます。ところで西村さんご自身のこれからの夢はなんですか?もうワールドカップを経験されたら、これ以上大きな試合もないと思いますが。
西村
:審判というのは選手の夢を叶える存在なので、ゲームの大きい小さいは関係ないんです。どんな試合であっても変わらずに全力を尽くすことを大切にしています。次の試合がもし少年のゲームだったら、少年たちが今まで努力してきたものをゲームの中で出しきって頑張る、そんな場に居合わせられればそれでいいなと。
学校長
:おっしゃるとおりです。
西村
:それぞれのゲームにそれぞれのドラマが隠されていて、それはふたを開けてみないとわかりません。その場でしっかりと適切なジャッジができるよう、しっかりと準備して選手に納得してもらうように頑張る、それだけを考えてやっていこうと思っています。
学校長
:最後に、これから未来へ歩んでいく若者にメッセージをお願いできますか。
西村
:時代としてはすごく苦しい時代かもしれないですが、周りを見たら自分より苦労している人はたくさんいるはずです。ただ悩んでいても前には進めません。まずは自分のできることから全力で臨んでいく。自分から意欲をもって何かに取り組むことの素晴らしさを忘れないでもらいたいです。
学校長
:日本工学院の先輩として、これ以上ない勇気を学生に与えていただけたと思います。ありがとうございました。
西村
:ありがとうございました。

今回、クラブワールドカップから帰国されたばかりのお忙し中、わざわざ日本工学院まで足を運んでいただき、長時間にわたってお話を聞かせていただいた西村さん。この対談の後も、年末に天皇杯の準々決勝、そして年明けの1月1日からはアジアカップのためカタールに行かれるとのこと。試合と試合の間の貴重なお時間を割いていただき、ありがとうございました。お話はどれも興味深く、かつ面白いものばかりで、もっとお聞きしたいことがあったのですが、時間があっという間に過ぎてしまいました。
そして対談終了後、最後にしっかりとした礼をされた西村さんは、私だけでなくその場にいた大勢のスタッフ一人ひとりの手をとり、両手でしっかりと握手をしながら挨拶をされて退室されました。ワールドカップという大きな舞台で活躍されるそのパワーの底にある、人間的な奥深さとその魅力にあらためて感服させられたのは言うまでもありません。

コラム「西村主審に聞く”ワールドカップの秘密”」

Q:サッカーの審判員にはサッカー選手と同じように体力が必要ですか?
サッカー選手と同じようにピッチの中を走り回り、つねに正確なジャッジができるよう、良いポジションに回り込まなければいけませんので、相当の体力が必要になります。およそ一試合で、12キロぐらい走るんですよ。ですから、普段からフィジカルコンディションを整えています。私の場合は、主にランニングをベースとしたトレーニングを行っています。次の試合に向けて、つねに万全の準備を心がけています。

西村雄一氏 プロフィール

  • 1994年 日本工学院専門学校(旧 日本電子工学院専門学校)卒業
  • 2004年 国際審判員(主審)登録
  • 2010年 FIFAワールドカップ(南アフリカ)決勝
  • FIFAクラブワールドカップ決勝
  • 国際Aマッチ 32試合、国際試合総数 121試合
  • J1総試合数<主審>136、J2総試合数<主審>54
  • 2007年 キャプテン賞、2009年 Jリーグ優秀主審賞を受賞、
  • 2010年 Jリーグ優秀審判賞、2011年日本サッカー協会会長賞
  • (2011年1月31日現在)

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SPECIAL対談 国際主審・本校OB 西村 雄一氏×日本工学院専門学校 学校長 千葉 茂
vol.1 世界のピッチにつながったさまざまな出会いと経験
vol.2 ジャッジとは「自分を信じ、勇気を持って決断を下す」こと
vol.3 夢を見つけるということ、夢を叶えるということ