2021年4月より星野リゾートとの教育連携がスタート
これからの観光業界で必要とされるのは、サービスができるだけのホテルスタッフではなく、観光業界で新しい価値を作ることができる人材です。日本工学院 ホテル・観光科では、その新しい時代に活躍する人材育成を行うため、2021年4月より、星野リゾートとの教育連携をスタートしました。現場で活躍中のスタッフの講師派遣や、教育の共同開発をはじめ、星野リゾートホテルでのインターンシップの実施、そして就職サポートなどを星野リゾートとの連携によって行います。星野リゾートは国内外70カ所以上でラグジュアリーホテル、リゾートホテル、都市観光ホテルを展開する総合リゾート運営会社。つねに新しいチャレンジによって観光産業に新しい風を起こしてきた星野リゾートならではのマインドやメソッドを教育に取り入れ、次世代の観光を支えるホテルスタッフを育成します。
星野リゾートとの主な教育提携内容
講師派遣 : 現場からスタッフを講師として派遣
星野リゾートで実際に活躍中のスタッフが講師となり、各種講義を行います。マナーやレストランサービスをはじめとするさまざまなホテルスタッフスキルをはじめ、現場経験で培ったスキルをもとに、ホスピタリティについても直接指導。またブランドマーケティングやリスクマネジメント、ファシリティマネジメントについてなどの講義も実施。それぞれを専門とするディレクターがプロの現場のホテル運営について、実践的に指導します。
教育の共同開発 : 新しい人材育成のため、教育内容を共同開発
星野リゾートがこれまでにホテル運営の現場で培ってきたさまざまなノウハウ、そして日本工学院の長年の実績ある人材育成メソッドを生かし、これまでにない新しいホテルスタッフ育成カリキュラムを共同開発。観光に携わるスタッフに必要となる幅広い教養科目から、業務の分野別に専門スキルを身につけるジョブ型教育まで、お客様のために、そして観光業界全体、さらに世の中のために活動できる人材をめざすための、他校にはない「星野リゾート×日本工学院」オリジナルの教育を用意しています。
インターンシップ : 実践でスキルアップ、インターンシップの実施
日本工学院 ホテル・観光科では、ホテルなどの実際の現場で、実践的にスキルアップすることを目的としたインターンシップを実施します。夏休み、冬休み、GWなどの長期休暇に合わせ、リゾートホテル、旅館、都市観光ホテルなど、星野リゾートが運営する全国各地のさまざまなタイプの施設でプロの指導のもと、実際の業務を体験。授業で学んだことを実践で確認するとともに、現場で実際にお客様と対面することでしか学ぶことのできない、ホスピタリティやプロのホテルスタッフスキルを培うチャンスを提供しています。
インターンシップスケジュール
1年次
7月中旬〜9月中旬(国内)、12月中旬〜1月中旬(国内・海外〈予定〉)
2年次
7月中旬〜9月中旬(国内)
IT教育 : 実践的な教育で、ITに強い観光人材を育成
就職サポート : ホテルやリゾートへ、就職活動をサポート
個々の学生に向け、観光業界に特化した手厚い就職サポートを行います。直接就職へと繋がるインターンシップの機会を多数設けるとともに、リゾートホテル・旅館などの現場を知るための見学会を実施。また観光の現場をよく知る人事担当者による就職セミナーなど、自分にマッチした職種・進路を見定めるためのチャンスを多数用意。全国各地の星野リゾートが運営するリゾートホテル・旅館を中心とした、観光業界への幅広い就職を多角的にサポートします。
星野リゾートとは
1914年軽井沢の地に星野温泉旅館を開業し、現在は国内外に72施設を運営するリゾート運営会社。「旅を楽しくする」をテーマに「星のや」「界」「リゾナーレ」「OMO(おも)」「BEB(ベブ)」の5ブランドを中心に運営しています。2025年には創業111年を迎え、今年は山口県下関市に「リゾナーレ下関」の開業を予定しています。
わかたびとは
「わかたび」とは、日本工学院と星野リゾートの連携教育を表す“教育ブランド”の名称です。日本工学院が育成する「若きつくりびと」と、「若者にたくさん旅をしてほしい」という星野リゾートの思いが込められています。
星野リゾートの取組みに学ぶ
「OMO」の取組みをモデルに、ケーススタディで学習!
お客様のニーズに応じて、5つのサブブランドを展開している星野リゾート。そのうちの一つ「OMO(おも)」は、観光をメインにした都市型カジュアルホテルです。さまざまな特徴の中で特にユニークなのが、ホテル周辺エリアに精通し、宿泊客を周辺観光にナビゲートしてくれる「OMOレンジャー」の存在。日本工学院情報ビジネス科ホテル・観光コースでは、実際にOMOの施設に足を運び、OMOレンジャーの活動などをモデルに、観光コーディネートについてケーススタディで学びます。
CASE STUDY : 「OMO7大阪」の取組み
「OMO」のブランド立ち上げに関わり、「OMO5東京大塚」「OMO7大阪」でさまざまなサービスを実現してきた星野リゾートの野部洋平さんに、OMOの取組みや観光コーディネートの魅力などについてうかがいました。
「観光人材に必要なのは、自分で考え、地域の魅力を創り出す力」
お客様の旅のテンションを上げるため、「OMO」は生まれました。
OMOのブランドコンセプトは、「旅のテンションが上がる都市観光ホテル」です。都市部の多くのホテルはビジネス客を意識した仕様になっていて、観光客の旅のテンションって実は下がっているのではないかという仮説から生まれたブランドです。だから観光目的で来るお客様のニーズに応えられるよう、カジュアルで革新的なインテリアを施し、ロケーションも駅から少し離れたところにホテルを構えています。そして、ガイドブックでは知り得ないような、リアルタイムのローカルな面白さを紹介する取組みに力を入れています。それが、街歩きをサポートする「Go-KINJOサービス」です。「ご近所マップ」と「ご近所ガイドOMOレンジャー」の2つのコンテンツで構成されており、お客様を周辺観光へ誘います。
都市観光を演出する、ご近所マップとOMOレンジャー。
「ご近所マップ」は、私たちスタッフが自分たちの足で探したお店をマッピングしたものです。100店舗以上回って実際に飲食し、お客様に大阪らしさを感じていただけるディープなスポットをチョイス。それをもとにスタッフ間で議論を重ね、串カツのお店を巡るツアーや、近所の卸売市場を訪ねて関西の「だし文化」に触れるツアーなどの観光プランを作りました。そして、そのツアーの案内役を務めるのが「OMOレンジャー」です。OMOレンジャーは戦隊ヒーローのように5色に分かれ、それぞれが「散歩」や「グルメ」など異なる役割を担っています。現在は約20名がOMOレンジャーのスキルを持っており、お客様のご要望に応じておすすめスポットへお連れしています。
足で探した地域の魅力を、多くのお客様に楽しんでほしい。
私自身、OMOレンジャーを経験して、実際に街を歩き、地域の魅力を発見することにおもしろさを感じています。知らなかった魅力を掘り起こし、ツアーの形にしてお客様にその魅力を感じていただく─。関西圏のお客様でも「こんなところがあったんだ、知らなかった」という反応が多く、お店の人からも「大阪の魅力を発信してくれてありがとう」というお声をよく頂戴します。お店の方々から街の魅力に関する新たな情報をいただくたび、一緒に街を盛り上げようという一体感が感じられ、地域に根付いたホテルになったことを改めて実感しています。
地域の魅力創出こそ、観光コーディネートの醍醐味です。
観光を通じて地域の魅力を発信する「観光コーディネート」の醍醐味は、地元の人もまだ気づいていないような魅力を伝えることで、それに興味を持った人が実際にその地域に足を運んでくださることです。また、私たちは地域の伝統文化や特産品とコラボレーションし、岸和田のだんじりの木彫り職人さんや堺市の伝統工芸「注染手ぬぐい」の職人さんのお仕事などを紹介しているのですが、職人さんが減りつつある時流の中で、興味を持った方の中から職人をめざす人が出てきています。星野リゾートは全社的に「地域の魅力創出」を非常に大事にしているため、いっそうこの仕事にやりがいを感じています。
観光コーディネートに大切なのは、その地域を熟知すること。
地域と連携して魅力づくりを行う際、私がもっとも大切にしているのは、街を知ることです。街はリアルタイムでどんどん変わっているので、私も毎日街をまわって新しいお店を開拓しています。そうすると、その街がどんどん好きになってくるんですね。地域と連携して観光をコーディネートする仕事をめざす人には、街を歩き、その街を好きになってほしいと思います。それも観光コーディネーターに必要な一種のスキルだと思っています。
気づきを発想に変える力を、ぜひ養ってください。
観光人材として活躍するには、考える力が必要です。毎日接客する中で気づいたこと、街を歩いて気づいたこと、地元の方々と話していて気づいたことなどを、新たな発想に変える力が重要です。これからの時代はその重要性がいっそう増してくると思いますので、学生時代に考える力をぜひ養ってください。その力を備えておけば、将来どの企業に就職しても活躍できると思います。
野部 洋平 さん
(株)星野リゾート OMO7大阪 サービスチーム・ユニット ディレクター
外資系ホテルに勤務後、星野リゾートのフラットな組織文化に魅力を感じて転職。(株)星野リゾート入社後は、「リゾナーレ熱海」「OMO5 東京大塚」「星のや東京」などで、広報やサービスチームで活躍。「OMO5 東京大塚」で新規ブランド「OMO」の立ち上げに参加。2022年4月「omo7大阪」の開業以降、現職。
星野リゾート代表からのメッセージ
「観光」の現場に飛び込んで、実践で実力をつけよう。
「観光」の仕事に就きたいと思っている皆さん。「観光」の仕事を学ぶためには、座学だけではなく現場での経験でしか学べないことがたくさんあります。私たち星野リゾートには過去30年の経験で培ったスキルがあり、日本工学院 ホテル・観光科では、私たちプロが講師となってこれまでの現場での経験を実践と共に皆さんに伝えていきます。「観光」の仕事は、決して簡単ではありませんが、非常にやりがいのある仕事です。観光は新しい経済基盤としてこれからの日本を支えていくいう大きな役割を担っています。皆さんもどんどん観光産業の中に飛び込んでいただいて、実力をつけていっていただきたい。一生懸命学び、日本の観光産業を牽引する大事な観光人材に育っていって欲しいと思っています。
星野 佳路(ほしの よしはる)氏 プロフィール
星野リゾート代表。
1960年、長野県軽井沢町生まれ。1983年、慶應義塾大学経済学部卒業。米国コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了。1991年、星野温泉(現在の星野リゾート)社長に就任。所有と運営を一体とする日本の観光産業でいち早く運営特化戦略をとり、運営サービスを提供するビジネスモデルへ転換。 2013年には、日本で初めて観光に特化した不動産投資信託(リート)を立ち上げ、星野リゾート・リートとして東京証券取引所に上場させた
星野リゾート内定学生メッセージ
ホテルスタッフをめざすための、たくさんの学びと経験がここにあります
(株)星野リゾート 勤務
田中 心春さん
ホテル・観光科卒
神奈川県立市ケ尾高校出身
日本工学院のホテル・観光科では、一年次から、各種ホテルを中心にさまざまな企業の方の講義や企業説明会があり、また授業内でもホテル見学やインターンシップなどをたくさん経験することできました。第一線のスキルやマインドを実践で学ぶとともに、早い時期から自分がホテルスタッフとして働く姿を思い描くことができ、進路についても深く考えることができたのはとても良かったと思っています。星野リゾートは、ホテル内のあらゆる業務に携わることで、経験を積むことができる「マルチタスク」という制度があり、他のホテルよりもやりがいがあり魅力を感じることができます。高校生の頃から夢見てめざしてきたホテルスタッフの仕事。プロのホテルスタッフとして、本物のおもてなしでお客様に笑顔を届けられる存在になれるよう、がんばっていきたいと思います。
教員からのメッセージ
遠藤 麻由 先生
星野リゾート入社後、「星のや軽井沢」「リゾナーレ八ヶ岳」「リゾナーレ熱海」などで、イベント企画運営、ウェディングプランナー、サービスチームユニットディレクターなどを担当。2019年、日本工学院専門学校に着任。
観光産業を支え、サービスを通じて社会に貢献する人材を育成
私たち日本工学院 ホテル・観光科では、ホテルで働くスタッフという小さな枠ではなく、自分たちのサービスを通じて幸せな世界を作っていきたいという、大きな視点で物を見て行動できるような、これからの観光を、そして社会を支えていくことのできる人材を育成していきたいと思っています。それには、ホテルスタッフとしての実務スキルを身につけるだけでなく、歴史や英語力、国語、ICTスキルなどさまざまな知識・教養をしっかりと身につけ、そしてホスピタリティや人間力を高め、感性を豊かにすることが必要です。
星野リゾートとの教育連携、恵まれた教育環境が夢を叶えます
そのような人材育成に星野リゾートとの教育連携は、とても大きな力となります。サービスを提供するためのマニュアルの遂行に留まらず、スタッフそれぞれがお客さまの滞在を演出し、満足いただけるために自ら考えて行動する。そんなホスピタリティを実践する星野リゾートのスタッフが講師として、現場での経験を元に指導をし、インターンシップでは実際に現場でそのスピリットを感じることもできます。他校にはないこの恵まれた学習環境の中で、ホテルスタッフの夢に向かって一緒にがんばりましょう!