応募テーマ「健康な家」
(応募総数 87点)
審査委員長
岡本 賢(建築家、元久米設計特別顧問、日本建築美術工芸協会会長)
審査員
渡辺 朋代 (オートデスク株式会社 エデュケーシナルグループプログラムマネージャ)
小田島 佑 (建築家)
有田 佳生 (建築家)
受賞作品
※受賞者の高等学校は受賞当時のものです
『System for symbiosis』
野口 真優梨
富山県立高岡工芸高等学校
審査員コメント 岡本賢氏
塔状共同住宅を全て様々な草花で覆ってしまうという提案である。植物の生態系と人々の生活が共生し、人も建築も地球も健康になる家という発想が、美しいプレゼンによって充分にイメージすることができる。花々で覆う事によるエコのディテールや四季折々に変化する塔状住居の建築を超えたイメージが伝わってくる。
『風吹き抜ける塔の家』
遠藤 豪人
静岡県立科学技術高等学校
審査員コメント 有田佳生氏
この案はシンプルな形態で、風の流れ、光の取り入れ方、構造といくつかの問題を同時に解いている。風は煙突効果により下から上へ流れることが想定されており、光は中央のライトウェルから4階~2階まで取り入れる仕組みとなっている。四方から4つの面が倒れかかっていることで安定した構造を作り出そうとしている。幾何学などで補助線を1本引くことでとても簡単に問題が解けることがあるが、それに似た美しい解き方だと感じた。加えて、1階は外部に開放され床が少し下げられ家族以外の人々も集まることが出来るよう考えられている。2階~4階がプライバシー重視でかなり閉じた形をしている点と対比して、住宅都市の中でどう開きどう閉じるかという点にまで考えられているところが良いと思った。
『DISTANCE PERSPECTIVE
~様々な距離感からなる健康な螺旋階段の家~』
平塚 友紀
北海道札幌工業高等学校
審査員コメント 小田島佑氏
作者は、日常の生活空間を上下四方に分散配置し、それぞれを螺旋階段で結合した環境を健康な家として提案している。単純な構成をした住宅空間であるが、確かに健康になれそうな住宅ではある。欲を言えば、本来の健康な住宅空間にはいま一つ居心地の良さ等、もう少し快適な場の設定が必要と思われます。
Autodesk賞
審査員特別賞
学校賞
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秋田県立大曲工業高等学校
岡本 賢 審査委員長 総評
第5回高校生けんちくコンテストは「健康な家」をテーマに全国各地から87点の応募作品がありました。健康な家とは健康に暮らすことであり、また住居そのものが健康的である等、様々な解釈が提示されました。多くは家族のコミュニケーションに着目する案や、家庭と地域のコミュニケーションを重視する案、環境やエコの提案、体力作りを考える案等、若い人達の柔軟な発想の中から様々な提案がなされ素晴らしい審査会を楽しむことができました。
金賞に選ばれた作品は花々に覆われた塔状集合住宅で植物の成長の過程と、人々の生活を共生する事で健康になる家を目指すという発想と、花に覆われた美しいイメージが高く評価されました。銀賞は四角錐の塔状の住居の中央に風が吹き抜けるボイドによって常に自然を感じさせる暮らし方を現実的な手法で提案された案と、梯子のような螺旋階段によって各室が連結し、体力増進を図るという提案で優れたプレゼンテーションとともに評価されました。その他地域との共生を強く意識した案が銅賞に選ばれ、若い人々が広く社会性を考え、世代を考えている事に力強さを感じる事ができました。