「高校生デジタルフォトコンテスト」
受賞13作品決定!
2012年7月25日~9月20日まで実施していた「第3回高校生デジタルフォトコンテスト」に全国からたくさんのご応募を頂きましてありがとうございました。応募総数738点という多くの作品の中から、グランプリ以下13作品を選ばせて頂きました。どの作品も「高校生活」というテーマを存分に表現していて、審査員の先生方も選考に大変苦労していました。その中でも先生方をうならせた13作品です。
審査員のご紹介
受賞作品のご紹介
※受賞者の高等学校は受賞当時のものです
「ゴールはそこに」
愛知県立天白高等学校
安藤 雅人さん
高校の体育祭のリレーの場面、ゴール直前で転んでしまった選手の様子です。
審査員コメント
清水哲朗氏
ポジション選び、画面構成、シャッタータイミング共に素晴らしいですね。人間は決定的瞬間ほどシャッターを押せません。予想外のハプニングに遭遇したときは動物的本能で身を守るためそれが何であるかを確認するまで体が萎縮してしまいます。作者は日々シャッターを押しているのでしょう。ファインダーから目を離さなかったことでその瞬間に反応し確実にモノにしました。それぞれの男子生徒の表情はまさにドラマを見ているようです。
小泉修氏
見事に決定的瞬間を撮った1枚です。こうしたハプニングがあると、ピントが合わない事が多いのですが、転んでしまい悔しそうな表情を捉えた技術力の高さに加え、地平線を斜めにした不安定なフレーミングが、緊迫した状況をリアルに表現しています。望遠レンズで圧縮された、転んだ走者と後続の走者との距離感、ボケ具合も良いですね。転んだ走者は、どうなったのか? その後の展開をイメージさせる力強さを持った1枚です。
「6年間」
田園調布学園高等部
板谷 萌絵さん
いつもの休み時間のいつもの光景。出会ってから六年間で築いてきたゆったりと流れる信頼感。
今年で卒業という期待と、変わらないでほしい日常とが入り混じるこの夏を切り取った一枚。
審査員コメント
清水哲朗氏
たわいない瞬間と言ってしまえばそれまでですが、学校生活は結構そんなことの繰り返しなのかもしれません。当たり前に過ぎていくシーンほど記憶にも記録にも残りにくいもの。「今」を記録することでその時間を止めておくことができます。記憶はどんどんおぼろになっても、この写真が1枚あれば将来様々な学生時代の思い出を振り返れるでしょう。想像力を膨らませるタイトルをつけたところに作家としての可能性を大きく感じました。
鶴田勇一氏
「箸が転がっても楽しい年頃」ということばが、この写真を見ていて頭に浮かびました。正直に言って被写体となったふたりがどんないきさつからこのシーンに至ったのか、おじさんの私には想像すらできませんが、この笑顔(笑い顔か)からは若者ならではの華やいだエネルギーを感じます。日々の様々な出来事が笑顔に包み込まれているような慎ましい生命力を感じます。おそらく作者も笑いながらシャッターを押したのではないでしょうか。構図、表情ともすばらしい1枚です。
「稚気」
愛知県立昭和高等学校
迫 恭平さん
学園祭準備期間中のヒトコマ。下校時刻になると、先生の見回りが始まる。
先生だって、子供心は忘れない。
審査員コメント
小泉 修氏
ホラー映画のワンシーンの様に、ふざけている友達を撮影したのかと思いきや、被写体は先生!「稚気愛すべし」と言いますが、この先生は学生たちから慕われているのでしょうね。先生と生徒の関係が伝わって来る素敵な写真です。被写体の前後を暗くした光の捉え方、懐中電灯に照らされた顔の一部を印象的に見せる絶妙な露出、左右に暗い壁を配したフレーミングも文句無しです。
菅野 幸男氏
学園祭準備中のひとコマ。とのことですが、先生のお茶目な表情と顔に当てた懐中電灯の光から、「お前たち、早く終わらせて帰れよ!」と言う声が写真から聞こえてきそうな、臨場感とユーモア溢れる作品です。これまでの応募作品であまり見かけることの無かった、先生を被写体としているあたり、生徒と先生の良好な人間関係も想像できます。撮影技術的な要素では、入り口のドア枠を使ったフレーム効果により、被写体の先生に、視線が集中する構図になっていることも好評価に繋がっています。
入選
コンテスト総評
清水哲朗氏
3回目の開催。今回も幅広いイメージでレベルの高い作品が数多く集まったことに感謝いたします。第1回から審査をしているとある程度応募作品傾向が見えてきます。休み時間、放課後、部活、運動会、修学旅行、ジャンプ、花火で絵や文字、お互いを撮り合ったもの、遊び心やアイディアを生かして作りこんだものなど。そのどれもが高校生活でのかけがえのない時間を記録しており、月日が経つごとに記録したありがたみを感じるでしょう。
とはいえ、コンテストの性質上、過去も含めて似た作品と比較してしまうのでそれ以上のイメージを目指さなければなりません。また、背中を写した作品が多く寄せられましたが、雰囲気は伝わっても表情が見えない写真は説得力に欠けます。一声かければクリアできるのにと思えるものはマイナス評価としました。人物写真は「顔が見えて、シャッタータイミングが良く、被写体の声が聞こえてきそう」な作品は共感を覚えます。舞台がイメージできればさらに評価は上がります。上位に選ばれた作品はそういう観点からも審査員の心をしっかりと掴みました。