並木柊人さん
声優・演劇科2023年卒業
日本工学院に入学した当時は、声優志望でした。中学、高校と吹奏楽部に打ち込んでいたので、将来は何かを表現するクリエイティブな仕事に就きたいと思っていました。声優をめざしたのはアニメを見るのが好きで、周囲からよく声が良いと言われていたからです。
日本工学院は高校2年生の時の課題で八王子校に体験入学したことがあったので、3年生になって改めて声優・演劇科に体験入学したうえで進学先に選びました。八王子校のキャンパスは自然が豊かで快適に過ごせることと、自宅から近くて通いやすかったのも志望した理由です。
ミュージカルに興味を持ったきっかけは、授業の観劇実習で劇団四季の「ライオンキング」と「アナと雪の女王」を観たことです。歌って、ダンスして、感情を表現するステージの迫力に圧倒されました。自分もいつかこのステージに立って、多くの人に感動を届けたいと思ったのです。声優から一転して劇団四季をめざそうと決めたのは2年生の4月だったので、秋のオーディションまでは半年もありません。劇団四季出身で科長を務めている長谷川浩司先生のサポートのもと、遅まきながら夢への挑戦がスタートしました。
入学して授業で学んだ以外に、演劇の経験は一切ありません。長谷川先生にバレエと声楽を習ったほうがいいとアドバイスを受けたので、授業に加えて学外の教室に通いました。学校と違う環境で刺激を受けることもありましたが、レッスンの内容は毎日の授業で習っていることと変わりません。外で学んでみて初めて日々の授業の大切さに気付きました。授業や教室でレッスンを重ねるうちに、ミュージカル俳優になりたいという気持ちが強く、大きくなっていきました。
準備に追われるうち、時間はあっという間に過ぎて、書類審査、結果発表、次いで実技審査の予選、本選と順調に進みました。予選も本選も緊張せずに力を出せたので手応えを感じていました。自分は劇団四季の一員で、審査員の方々はお客様だと思って、楽しんでもらえるように演じたことが良かったのかもしれません。本選の1週間後に面接があり、その後正式に合格の通知を受け取りました。そのうれしさは例えようのないものでした。
夢を実現するのに一番大切なのは、自信を持つことです。そうすれば、オーディションの場でも緊張せずに力を発揮できます。私が中学高校時代に所属していた吹奏楽部は、全国大会で金賞を取るような強豪校で練習も厳しいものでした。コンクールに参加するメンバーもオーディションで選ばれますし、ソロコンクールに参加したこともありました。そうした経験が精神的な強さを育み、自信に繋がっていると思います。
でも、私が劇団四季研究所に合格できたのは、自分一人の力ではありません。準備期間も短く、かなり無謀な挑戦だったので、時に不安を感じることもありました。それでも自信を失わなかったのは、長谷川先生をはじめ先生方の親身な指導と、クラスのみんなが励ましてくれたおかげです。
これから俳優として舞台に立つ上で心がけたいのは、何よりも自分が楽しく演じることです。そして観てくださるお客様に感動を与えたい。いつか「ノートルダムの鐘」の主人公カジモドを演じることが俳優としての目標。現在は研究所を卒業し、劇団内でのオーディションに向けて日々挑戦しています。
当学科は、声優・俳優に限らず、総合エンターテイナーの育成を目標にしています。
そのために、
「プロがプロを育てる」
「プロと同じ環境で授業を行う」
「プロのサポートでデビューに導く」
という3つのシステムを確立しました。
学生たちが2年生になると、すぐにオーディションが始まります。だから、1年生のうちから先輩が参加する合同オーディションを見学して、雰囲気に慣れてもらうようにしました。さらに、授業が終わった後に稽古場を開けて、学生一人ひとりを指導しています。授業で消化できなかったところを、その日のうちに理解して翌日に残さないためです。今ではすっかり定着して、放課後は学生が行列をつくるほどになりました。
歌やダンスの実技は重要ですが、その前に書類審査を突破しなければなりません。最近はオーディションの募集もオンラインになり、画像や動画を添付して応募するのが一般的です。私たちは学生全員のエントリーシートをチェックして、動画も一緒に撮影しています。
私たちが、これほどまでに力を入れて指導する理由は、学生たちに劇団四季や81プロデュースなどの高い目標に挑戦してほしいからです。簡単で安全な道を選んだら、そこで成長が止まってしまいます。その夢を手にするために何が必要なのか、どうすればいいかを考えて、指導するのが私たちの役割です。
並木さんは劇団四季をめざすにはスタートが遅かった。でも、それだけに短い時間で集中して努力し、合格できるだけの力を身に付けたのです。俳優として1日でも長く舞台に立つために、自己管理を徹底して常にコンディションを整えてもらいたい。劇団四季のすごさは、いつも満席のお客様が観てくださることです。エンターテインメントの最高峰で演じる喜びと楽しさの中で、俳優として成長してほしいと思います。
声優や俳優になりたいという夢を持つ人は、ぜひ日本工学院の門をたたいてください。並木さんのように、入学してから違う道を選び、新たな夢に挑むことも可能です。私も大学で演劇を学んでいましたが、4年生の時にミュージカルに目覚めて劇団四季に入団しました。強い思いがあれば、夢に挑むのに遅すぎることはありません。あなたの挑戦を私たちがサポートします。
◎声優・演劇科
https://www.neec.ac.jp/department/creators/actor/
日本工学院 クリエイターズカレッジ
声優・演劇科 科長
長谷川浩司