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ITカレッジ特別講座 伝えたいこと

今、IT業界で有名なBASE株式会社代表取締役CEO鶴岡裕太氏と、株式会社CAMPFIRE代表取締役CEO家入一真氏をお招きして、特別講座を対談形式で開催いたしました。

ITカレッジ特別講座 伝えたいことITカレッジ特別講座 伝えたいこと
2020年03月02日
蒲田校

ITカレッジ特別講座 伝えたいこと

20191216

テクノロジーによる「やさしい革命」でより良い世界を実現したい。

今、IT業界で有名なBASE株式会社代表取締役CEO鶴岡裕太氏と、株式会社CAMPFIRE代表取締役CEO家入一真氏をお招きして、ITカレッジ学生を対象とした特別講座を対談形式で開催いたしました。20代前半で起業し、社長として事業の指揮をとるお二人は、インターネットのサービスを通じて、誰もが夢にチャレンジできる世界を実現する「やさしい革命」に取り組んでいます。今回の特別講座では「学生時代」「ITと仕事」「人」という3つのテーマを中心に語っていただきました。

司会進行 日本工学院専門学校副校長 遠山一明

株式会社CAMPFIRE
代表取締役CEO 家入一真

1978年生まれ、福岡県出身。2003年、「ロリポップ」「minne」など個人向けサービスを運営する株式会社「paperboy&co. (現GMOペパボ)」を福岡で創業。
2008年JASDAQ市場最年少で上場。2011年株式会社CAMPFIREを創業。代表取締役に就任。BASE株式会社の共同創業取締役。エンジェル投資家として60社を超えるスタートアップへの投資・支援。現代の駆け込み寺シェアハウス「リバ邸」の世界展開なども行う。2018年、シード向けベンチャーキャピタル「NOW」を設立し、第一号として最大50億円規模のファンドを組成。生きづらさを抱える人の居場所づくりや「やさしい革命」を合言葉に、テクノロジーによる社会のアップデートを人生のテーマに活動。

CAMPFIRE

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BASE株式会社
代表取締役CEO  鶴岡裕太

平成元年生まれ。
大学在学中の2012年に22歳でBASE株式会社を設立。
「Payment to the People, Power to the People.」をミッションに、決済の簡易化とリスクの無いあたたかい金融を主軸にした国内最大級のEコマースプラットフォーム「BASE」等を運営。
2014年、米国 Apple社が注目するデベロッパーに日本からBASE社が選出。
2016年のForbesが選ぶ「アジアを代表する30歳未満」の小売り&Eコマース部門、2018年のForbes JAPAN日本の起業家ランキング第3位にそれぞれ鶴岡が選出されている。
2019年10月に東証マザーズに上場。

BASE

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学生時代

家入:引きこもりの経験から生まれた第三の居場所「リバ邸」。

―最初のテーマは「学生時代」です。鶴岡さんは東京工科大学のOBですが、学生時代から起業を志していたのでしょうか。

鶴岡:18歳になるまで大分で過ごしていました。6歳上の兄がいたので、ネットはよく見ていましたが、ゲームばかりやっていて、起業どころか生産的なことは何もしていませんでしたね。中学生の頃は2か月くらい学校に行かなかったけど、母親は怒らずに旅行に連れていってくれました。とてもいい母親だったと思います。その頃、劇団四季の舞台を見て、プロとして観客に感動を与える仕事ってすごい、自分も誰かのためになる仕事をしたいと思いました。高校を卒業して東京工科大学に進み、3年生の時に家入さんが経営するCAMPFIREにインターンシップに行きました。そこでプログラミングを覚えたら、すごく楽しかったので大学をやめてCAMPFIREに入社しようと思ったんです。
家入:鶴岡君は面接の時に、エンジニアでプログラミングできますと言ってCAMPFIREに入りました。
鶴岡:プログラミングは得意ではありませんでしたが、エンジニアしか募集していなかったので、しかたなかったんです。僕の実力は初日にバレてしまいましたが、教えてもらったらすぐに簡単な仕事からこなせるようになりました。当時のCAMPFIREは4人しかいない小さな会社で、人手が足りないから僕を置いてくれたんだと思います。みなさんに迷惑をかけないように、必死になってプログラミングを覚えました。

―家入さんも、学生時代は家に居るのが好きだったそうですね。

家入:中2の時に、いじめをきっかけに学校に行けなくなって家に引きこもっていました。10代は、ほとんど人と接することのない生活を送っていました。親が古いPCを買ってくれたので、独学でプログラミングを学んで簡単なゲームを作ったりしてました。

―そうした体験に基づいて「リバ邸」を作られたのでしょうか。

家入:学校や会社に行けなくなってしまった人たちが家に引きこもらないように、居場所を作りたかったんです。同じ悩みを抱えた人たちが集まる第三の場所です。一人じゃ何もできないけど、数人集まって力を合わせれば何かできるかもしれない。そういう場所を作ろうということで、「リバ邸」というシェアハウスを立ち上げました。その第一号が六本木で、最初の住人が鶴岡君です。
鶴岡:六本木の「リバ邸」は3LDKの部屋に10人くらいが住んでいて、家賃は3万円。みんなインターネットが好きで毎晩リビングで徹夜して、コード書いて疲れたら寝る。起きたら、またコード書くっていう繰り返し。そこで作ったのがEコマースプラットフォームの「BASE」です。他にもいくつかプロダクトが生まれて、億万長者になった人もいれば、当社の執行役員になっている人もいます。同じ趣味嗜好を持ったメンバーと一緒に暮らすのは本当に楽しくて、いい経験でした。
家入:僕も引きこもりのときにコードを書いていて、鶴岡君も入社した後にプログラムを覚えて「BASE」を作ったわけです。こういう話をすると、僕たちがプログラマーとしてのスキルがすごいから起業できたと思うかもしれません。でも、実はプログラマーとしてのレベルは低いんです。
鶴岡:本当に、今でも初歩的なコードしか書けません。プログラムも書けない僕がCAMPFIREに入ろうと思ったのは、クラウドファンディングをやっていたからです。それまでは、何か行動を起こした結果、対価を得るという構造でした。でも、クラウドファンディングは最初に夢を語って、共感する人たちからお金を集めて実行できる。お金に関わる時系列が反対になって、これは世の中を変える力があるなと感じました。CAMPFIREで初めて家入さんにお会いして、その思想や人柄がWebサービスに転換されていることを知って、すごいなと思いました。それからずっとお世話になってます。

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ITと仕事

鶴岡:インターネットは、個人や小規模のチームが
チャンスを得るためのツールです。

―ここからは「ITと仕事」というテーマでお話しを伺います。鶴岡さんは、大分でお店をやっていたお母さんのために「BASE」を開発したそうですね。

鶴岡:母がECサイトを作りたいと言い出したのがきっかけです。当時は楽天やアマゾンはあったけど、50代の母親が出店するにはハードルが高い。それで作ったのが「BASE」です。サービスをリリースしたら、家入さんが会社化しなよ、と言って出資してくれました。僕はまだ東京工科大を休学しているただの学生だったのに。出資してもらったおかげで、一緒にやっているメンバーに給料を払えるようになって、そこから会社がスタートしました。
家入:鶴岡君のすごいところは、エンジニアとして優秀だとか、何か突出していたわけではなく、彼を支えてくれる仲間が周りにいたこと。会場のみなさんの中には、起業したいとか、社長になりたいと思っている人がいるかもしれませんが、社長って何でもできる人じゃない。実はできないことばかりで、それを支えてくれる仲間を集められるかどうかが大切なんです。鶴岡君は人を巻き込む力のある人だなと思っていました。
鶴岡:僕は家入さんに影響を受けたこともあって、インターネットは個人や小さなチームが強くなるためのツールだと思ってます。地方にいる人や、資金力がないチームがエンパワーメントされるためにある。そういった人たちが主役になる時代をBASEやCAMPFIREが支えていくという感じです。

―CAMPFIREは29,000件のクラウドファンディングで167億円集めた実績があり、地方の方々から大きな期待が寄せられていると聞いています。*2020年1月末時点

家入:いま日本では、いろんなことが二極化して、地方では人口がどんどん減ってるし、お金を持っている人と持っていない人の差も開いています。今後は、さらに若い世代にお金が回らない時代になるでしょう。いま10代から20代の人たちが生きていくには、しんどい国になっていくと思います。地元に帰ってカフェやりたいとか、ゲストハウスを作りたいとか、そういう夢を実現しようとした時に、銀行からお金を借りるとか、バイトして貯金するなどの方法が実現できないかもしれません。そういった時に、クラウドファンディングを思い出してもらいたい。累計流通額は百億円を超えますが、1,000円や2,000円の支援が集まった結果です。小さな金額が積み重なって大きなものになるというのは、インターネットが実現した世界の特徴だと思います。
鶴岡:そうですね。BASEのミッションもインターネットで個人や小規模のチームを強くすることです。それはインターネットの中だけに限りません。たとえば、学生時代の僕が渋谷のマルイにショップを開こうとしてもできない。お金がないし、与信もないからです。でも今なら「BASE」で蓄積したデータをもとに与信を担保できるから、若い人たちでもショップを持つことができる。新しい挑戦をしたい人たちのリスクを、僕たちが作ったプラットフォームがカバーすることで、たくさんの人が今までできなかったチャレンジを実現できる。そういう世界を作っていきたい。

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家入:自分の隣にいる人の喜ぶことを形にすると人が集まって、会社になる。

―最後のテーマは「人」です。CAMPFIREの採用方針は、「やさしくない人は採用しません」だそうですね。

家入:最終面接で必ず「あなたはやさしい人ですか」と質問します。鶴岡君も一緒に働くならやさしい人がいいよね。
鶴岡:はい、僕もやさしくない人はいやです。家入さんの周りにはやさしい人が多くて、自分が怒られにくい環境を作っていますね。
家入:最近のSNSを見てると、厳しい人が多いじゃないですか。厳しさを持っている人は、他人にも厳しさを求めてしまう。僕はいかに自分がダメな人間か知っているので、周りにもやさしくなれます。だからみんなも自分のダメさを自覚すればいいのにと思う。誰だってダメなところがあるはずだから。

―CAMPFIREには、「kindness/人にやさしくあれ」、「positive/楽観的であれ」、「revolt /革命を起こせ」という3つの標語があるそうですね。

家入:僕は革命という言葉が好きで、よく「やさしい革命」を起こそうと言っています。僕たちがめざす革命とは、既存のシステムや枠組みの中で生きづらさを抱えている人たちのために、アプリやWebサービスを通じて社会をアップデートすること。テクノロジーやビジネスの力で、血を流さずに社会をより良いものにすることを「やさしい革命」と呼んでいます。さっきも言いましたが、この国で生きていく若い人たちの未来について、あまりいい展望が見えてきません。だから自分たちの力で、生きやすい世界を作る必要がある。企業してビジネスを起こすことや、新しいサービスを作ることは、世界を変える可能性を秘めています。自分たちが望む未来を手にするためには、一人ひとりが小さな一歩を踏み出していかなければなりません。それが「やさしい革命」なんです。

―鶴岡さんの「BASE」も、まさしく「やさしい革命」の一端を担うものですね。利益よりも、まずお母さんに喜んでもらうために作ったと聞きました。

鶴岡:母親に限らず、誰かの役に立つことは、それまでの僕の人生で初めてといっていい体験でした。家族や学校のお世話になりながら20年間生きてきて、ようやく人に価値を提供できるようになって、自分の存在意義を見いだせたのが「BASE」を作ったときです。サービスの対価より、誰かが喜んでくれることが、本当に楽しかった。いまは 百何十人も社員がいるので、ある程度の売上や利益は必要ですが、それもいいサービスを作るための投資です。

―これからのビジョンについてお話しください。

鶴岡:個人や小さなチームがインターネットによって強くなっていくというトレンドは不可逆的なもので、これからも続いていくでしょう。「BASE」という事業の未来も、そこにあります。世の中の人は、仕事の結果がすぐ出ると思っていて、1~2年やってうまくいかないと飽きて次のことをやろうとします。でも、僕は仕事の結果なんて、そんな短期間で出るほど簡単じゃないと思う。だから、僕たちは一つの会社や事業に何十年もコミットしていきます。技術も、サービスも、極めるには、それなりに時間が必要です。起業という挑戦を経験して実感したのは、あきらめずに努力し続ければ、ほとんどのことが実現できるということ。夢や希望って簡単に言うけど、自分が心から実現したいと思えることを見つけるのは難しい。ほとんどの人ができていません。でも、それがあれば他の人に負けない力になるし、良い人生を送る指針にもなってくれます。僕にとっての幸せは、これからもユーザーさんを幸せにするプロダクトを作ること。そしてそれを追求していくことです。
家入:僕も鶴岡君も自分が起業するなんて思っていかなった。起業って、ものすごく大変なことのように身構えてしまうことがあると思うんですけど、全然そんなことはありません。会場のみなさんも、いろんな家庭環境で育って、小学校から高校を経てここにいるわけですよね。その間に、いろんな経験をしているはずです。辛いことや、コンプレックスを感じたこと、未来に対する不安もあったと思います。でも、そういう自分がいまやれることって何だろうって考えると、結構あるんです。鶴岡君はお母さんを喜ばせるために「BASE」を作ったら、同じように悩んでいる人が日本中にいて、サービスが広がりました。いきなり大きなテーマに取り組もうとしないで、自分の隣に座っている人の喜ぶことをしよう、みたいなところに起業のタネがいっぱいころがっているんです。それを形にすると、私もやりたい、応援したいっていう人たちが集まって、結果として会社になっていく。日常生活の中で、感じたイヤなこと。学校行くの面倒だなとか、満員電車イヤだなとか、それをどうすれば解決できるか考える訓練をすると、現実社会を見る眼の解像度が上がります。自分がやりたいことじゃなくて、やる意味のあることが見えてくる。僕は昔からやりたいことがない人間でした。自分がやるべきことをやってきた結果として今があるし、それはこれからも変わりません。

―ありがとうございます。最後に、お二人から学生のみなさんへメッセージをお願いします。

鶴岡:自分が若い時には気付かないけど、若さって本当にすごいと思います。僕はいま30歳だけど、もう新しいことがやりにくくなっている。いま英語を勉強してるんですが、なかなか覚えられない。もっと早くやっておくべきだったと後悔してます。先日、早稲田大学で行われたベンチャー経営者の講演会に行ったら、いま誰か希望したら100万円出資しますって講演者が呼びかけたのに、誰も手を挙げませんでした。せっかくのチャンスなのに、もったいないじゃないですか。若いうちはリスクを恐れずに、どんどん挑戦してほしい。
家入:自分で自分の可能性をせばめないようにしてほしいですね。自分は何が強みだとか、何が苦手だとかっていう自己分析は間違っていることが多いから。自分には向いてないなと思っても、やってみたらすごい力を発揮できたとか、人に感謝されて楽しくなることもあります。だから、今の時点で向き不向きなんて考えずに、いろんなコミュニティに飛び込んでほしい。そこから新しい世界が広がるかもしれません。

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