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あすなろ塾特別講演 楽しく学ぶ

講師は、70歳で中央大学文学部教授を定年退職後、日本工学院医療・保育カレッジの鍼灸科へ入学して、はり師・きゅう師の国家資格を取得した阪口修平さんです。

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2020年02月17日
カリキュラム教育イベント資格講師八王子校

70歳を過ぎて資格取得のため鍼灸科に入学! 「楽しく学ぶ」方法を人生の大先輩に聴く!

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日本工学院では、すべての学生が確かな人間力を身につけられるように「チャレンジプログラム」を設け、さまざまな講座を開講しています。その一環として開催されているのが本学園の理事長をはじめ、さまざまな講師の話を聞く「あすなろ塾」です。

今回、八王子校の鍼灸科、柔道整復科、自動車整備科の1年生を対象に行われた講座のテーマは「楽しく学ぶ」。講師は、70歳で中央大学文学部教授を定年退職後、2014年に日本工学院医療・保育カレッジの鍼灸科へ入学して、はり師・きゅう師の国家資格を取得した阪口修平さんです。

西洋史学の研究者として数々の業績を残されている阪口先生が、全く分野の違う鍼灸を学ぼうと思ったのはなぜか。そして「楽しく学ぶ」ために心がけるべきことは何かについて語ってくださいました。

高齢者が助け合いながら健康を守るため
まだ見ぬ新しい分野へ挑戦する道を選んだ。

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まず、私が70歳を過ぎて鍼灸を学ぼうと思った理由について、お話ししましょう。定年退職後に迎える第二の人生には、三つの道があると言われます。まず、散歩や庭仕事のかたわら趣味を楽しんでのんびりと過ごす晴耕雨読の道。次は、それまで続けて来た仕事の延長をマイペースで続ける道。最後は、全く新しいことに挑戦する道です。最後の道を選ぶ人は少ないかもしれません。でも、私はその一人だったのです。

西洋史学を研究していた私が鍼灸の資格を取ろうと思った理由は、二つあります。まず、私は2000年頃から東洋医学に興味を持ち、鍼や指圧について調べていました。もう一つの大きな理由が、医療費の増加を抑えるため、高齢者同士が助け合う必要があると考えたことです。高齢者が自分たち自身の健康を守り、若い世代に負担をかけないようにするためには、鍼灸が役立ちます。だから私は工学院に入学し、鍼灸の資格をめざしたのです。

人の健康に関わる勉強ですから、中途半端な気持ちでは取り組めません。しっかりとした知識と技量を学ばないといけない。でも、最初から勉強が大好き、という人はほとんどいないでしょう。どうすれば楽しく勉強できるかが、私のお話しのテーマです。過去の体験をふまえながら、勉強のなかに楽しみを見出す方法についてお話ししたいと思います。

わからないことの答えを見つけるには
積極的に行動して五感をフル活用する。

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勉強には、二つの醍醐味があります。それは「発見の喜び」と「達成の快感」です。それぞれについて簡単にお話ししましょう。
まず、「発見の喜び」は、今までわからなかったことを知り、満足感を得ることです。私は鍼灸科で生理学の授業を受けて、風邪をひくとなぜ熱が出るのかを知って驚きました。ウィルスが熱を出すのではなく、私たちの身体がウィルスと闘うために体温を上げるんですね。だから解熱剤で熱を下げると、かえって良くない場合もあります。これは、熱はウィルスが出すという、それまで私が信じていた固定観念をひっくり返す大発見でした。

日常の小さなことから「発見の喜び」を感じるための第一歩は、なぜだろう、不思議だなと思う心を持つことです。身の回りに不思議なことはたくさんあります。それらに触れたときに、常になぜかを問うようにしてください。日々の授業で習ったことを整理すると、わからないことが必ず出てくるはずです。疑問を持ったら、そのままにしないで答えを探しましょう。先生に聞いたり、友だちと考えたり、積極的に行動することが大切です。そうやって得た知識は、ただ教科書を読むよりも深く頭の中に刻み込まれます。私は生理学を深く理解したいと思ったので、図書館へ通って「人体」というNHKで放映していた番組のDVDを観ました。視覚から身体のしくみを理解することができて、それから生理学の授業が楽しくなったのです。ぜひ五感をフルに活用して、「発見の喜び」を味わってください。

スマホのゲームに熱中するように
学びの中にも快感や達成感がある。

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次に、「達成の快感」を得るための方法をお話しします。ポイントは目標の立て方です。あまりに遠く、高い目標は挫折のもとですから、小さな目標を立てましょう。小さな目標も何度か積み重ねれば、大きな成果になります。たとえば、山登りをするときに、頂上ではなく前を歩く人の足元を見て登っていく。しばらくして後ろを振り返ると、ずいぶん高くまで登ったなと達成感を得られるでしょう。勉強も同じで、70点の目標に対して75点とれたらうれしくなります。

時には、短期集中型の目標を立てることも有効です。以前、臨床医学の授業の課題で、3年分の内容を1週間で覚えるという課題に挑戦したことがありました。この時は全力で取り組み、やり遂げた結果として大きな達成感を得られたのです。挑戦が毎回成功するとは限りませんが、力を尽くした経験は忘れがたい喜びと自信をもたらすでしょう。

よく、若い人たちがスマホのゲームに熱中しているのを見ますが、スピードや高得点へ挑戦することは、それ自体が快感を引き起こします。何もかも忘れてゲームに没頭するのと同じように、学ぶことの中にも快感や達成感を見出してください。未知の世界に触れ、答えを探し求める過程には、刺激と興奮に満ちた世界が広がっています。

覚えたら、何度も頭の中から引き出して
長期記憶にするのが暗記のポイント。

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どんな学問を学ぶにしても、覚えなければならないことはたくさんあります。多くの人にとって、暗記は勉強がいやになる原因です。私は年寄なので、若い人たちのように速くたくさん覚えられません。だから一度に詰め込まずに、5つずつ区切って覚えるようにしました。そのうえで、通学のバスや電車の中を暗記する時間にあてたのです。自宅と学校の往復で45分ほどバスに乗っていましたが、1日に30項目くらい暗記できました。鍼灸で学ぶ経穴は361ありますが、この方法なら3週間で全部覚えられます。

記憶力の衰えている私にできたのだから、若いあなた方には簡単なことでしょう。ただ、一度覚えたと思っても、それだけでは短期記憶にしかならないため、すぐに忘れてしまいます。覚えているうちに、何回か繰り返して引き出せば長期記憶になり、10年経っても忘れません。私はよく歩きながら記憶の引き出しを開けては、しまったものを思い出していました。暗記は決して苦行ではありません。日常のちょっとした時間を活用して取り組めば、どんどん覚えられます。

私が人生で最良の時間を過ごしたように
有意義な学生生活を過ごしてほしい。

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日本工学院の鍼灸科で過ごした3年間は、とても楽しい時間でした。今までの人生の中で最高に楽しかったといえるほどです。毎日、見知らぬ世界を旅しているような気分で、ワクワクしながら授業を受けていました。それは、鍼灸科の先生方のおかげといえるでしょう。何十年もの間、学生に教える立場だった私には、先生方が工夫を凝らして授業をしていることがわかります。先日、医療関係の専門誌で日本工学院の鍼灸科が大きく取り上げられた時にも、特集の冒頭で教育に取り組む先生たちのマインドがものすごく熱いと紹介されていました。そうした環境の中で学べるのは、とても幸せなことだと思います。

70歳を過ぎた私と、若いあなた方では感性が違うかもしれません。でも、鍼灸という未知のものと向き合い、学ぶ過程で得る「発見の喜び」と「達成の快感」には通じるものがあるはずです。楽しく学ぶことは、やがて卒業して社会に出た後に、楽しく働くことに繋がります。今日お話ししたことが、有意義な学生生活を送るうえで少しでも参考になれば幸いです。

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阪口修平
1943年大阪生まれ。
1962年、広島大学文学部史学科西洋史学専攻に入学。
1975年、中央大学文学部に赴任。
2014年、中央大学を定年退職。中央大学名誉教授となる。
2014年、日本工学院八王子専門学校医療カレッジ鍼灸科入学。
2017年、鍼灸科卒業。厚生労働省認定国家資格はり師・きゅう師免許取得。

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