技術の進歩とともに、成長し続けるAI関連業界。AI人材の活躍の場も産業界全体に広がっています。
人工知能(AI)は、日進月歩で成長を続けている技術です。社会やビジネスに対する影響も大きく、AIの市場規模は膨らみ続けています。AI人材を求める企業も産業界全体に広がっており、今後人材不足は深刻化すると予測されています。AIに関連する仕事をめざすうえで、AIの市場規模、活用事例、AI人材のニーズや年収など、AIを取り巻く環境について知っておくことはとても重要ですので、正しく理解し、AIを社会やビジネスに役立てていってください。
AIとは : 次世代の社会を支える、とても重要な技術です。
人工知能(AI)とは、人間の知的活動をコンピュータを使って人工的に再現したものであり、次世代の社会を支える主要技術のひとつ。プログラミングとデータ解析を組み合わせて新しい価値を創造する、とても重要なクリエイティブツールです。AIを使いこなすには発想力やビジネス感覚が不可欠ですが、それらを身につければ無限の価値を創り出すことができます。事実、日々AIを使った新たなサービスが生まれており、ベンリで快適な暮らしを支えています。
AIにできること : AIは、データ処理やルールに沿った作業などが得意です。
AIには、できること(得意なこと)とできないこと(苦手なこと)があります。得意なことは、大量のデータ処理、ルールに沿った作業、共通点を見つける作業など。こうしたAIの特徴を理解しておくと、課題を解決する際、より効率的にAIを活用することができます。
AIにできること(得意なこと)
AIで変わる社会 : AIを活用したサービスが、社会に新たな息吹を吹き込んでいます。
AIは社会の隅々に溶けこみ、人々は日常の中で意識せずにAIを使いこなしています。いまやAIは一部の研究者が扱う特別な技術ではなく、誰もが楽しみながら活用している身近な技術。特に最近はAIを使った新しいシステムやサービスがどんどん実現しており、社会全体に新たな息吹を吹き込んでいます。
AIの活用事例
AIの市場規模 : 国内のAI市場は拡大の一途をたどっています。
2020年度のAI市場の売上金額は約513億円、前年度比19.9%増と大きな伸びを記録しました。その傾向は今後も継続し、国内のAI市場の年平均成長率(2020〜2025年度)は18.7%、2025年度には1,200億円に達すると予測されており、AIのスペシャリストの活躍の場はどんどん広がっています。
国内のAI市場(推移と予測)
不足する人材 : 2030年、12万人を超えるAI人材が不足!
経済産業省の調査によると、AI人材(AIエンジニアやAIプランナーなど)は、2030年に12万人以上不足すると予想されています。AIの普及に伴い、将来は一般企業でもAIユーザー(AIを使ったシステムやアプリを適切に活用できる人)が増加すると見込まれているため、より多くのAI関連人材が必要になると考えられます。
AI人材全体の需給
日本ではユーザー企業で働くIT人材が不足しています。
日本は世界的に見てユーザー企業(IT業界以外の企業)で働くIT人材の割合が低いと指摘されています。事実、IT企業とユーザー企業で働くIT人材の割合をみると、日本はIT企業で働くIT人材の割合が約72%に対しユーザー企業が約28%、アメリカはIT企業が約35%に対しユーザー企業が約65%に達しています。イギリスやドイツでもユーザー企業の比率が5割を超えており、これからの日本ではIT人材の活躍の場がユーザー企業へと広がっていくことが予想されます。
IT人材が所属する企業の割合
デジタル人材の年収 : スキルを磨けば、年収1,000万円以上も十分可能です。
経済産業省の調査によれば、AIなどの先端的なIT業務に携わる人(デジタル人材)の年収は、個人差はあるものの「1,000〜1,500万円」の区分がもっとも多くなっています。海外のITベンダーの場合、デジタル人材には数千万円の年俸が保証されることもあります。
デジタル人材の年収分布
日本のAI戦略 : 「Society 5.0」の実現に向け、政府がDXの推進を後押ししています。
日本政府は「Society 5.0」の実現に向けて、さまざまな取り組みを行っています。「Society 5.0」とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させ、経済的な発展と社会的な課題の解決を両立する「人間中心の社会」。産業・社会の基盤作りと並行して、全国民がAIやデータサイエンスの基礎を学び、AIで地域課題の解決ができる人材の育成などをめざしています。
また、産業界にはDX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術を活用することで人々の生活をより良いものへと変革すること)の推進が求められており、多くの企業でDX人材(業務のDX化に取り組む人)の育成や確保が課題となっています。
AI人材の育成
AI関連の職種 : 開発系、活用系など、さまざまな仕事があります。
AIを使ったシステムを企画・開発する技術系の職種と、AIを活用しDXの推進も担う活用系の職種に分かれます。技術職の多くはIT企業に所属していますが、ユーザー企業(IT業界以外の一般企業)からのニーズも高まっています。一方、活用系の職種は業界を問わず広く求められており、デジタル社会の進展とともにAI関連人材の活躍の場は広がっています。