AIシステム科学生が「たのしいmicro:bitコンテスト2025」「IEEE TOWERS 2025」でW受賞
AIシステム科1年生の比留間きらなさんと高橋佳希さんが「たのしいmicro:bitコンテスト2025」と「IEEE TOWERS 2025」2つのイベントにエントリー。比留間きらなさんの作品・発表が双方にてW受賞となりました。AIシステム科では、在学中に数々のイベントやコンテスト、学会などに参加。日頃の学びを形にし、学習成果の確認はもちろん、社会や業界との接点、研究者の異分野交流などを積極的に行っています。「たのしいmicro:bitコンテスト」「IEEE TOWERS」には、AIシステム科の学生が毎年チャレンジし、好成績を残しています。
たのしいmicro:bitコンテスト2025
たのしいmicro:bitコンテストは、教育用マイコンボード「micro:bit(マイクロビット)」を使った作品コンテストで、子供から大人まで「作って楽しむ」ことを目的として毎年開催されています。 キッズ&ファミリー部門(小学生以下)、一般部門(中学生以上)など、年齢やレベルに関わらず応募可能で、フォームの提出と、Xへのプレゼン動画投稿を基に審査され、「Maker Faire Tokyo」にてファイナリストの展示や結果発表が行われます。比留間さんは「ウパザウルス(浮き輪)を用いた体感ゲーム」で、高橋さんはグループで「鬼ごっこと宝探しのハイブリッドゲーム」を制作し応募。高橋さんのグループは残念ながら選出に至りませんでしたが、比留間さんの作品が一般部門で決勝へ進出。オンライン決勝ではZoomでの3分プレゼン動画+質疑応答を経て、10/5に東京ビッグサイトで行われたMaker Faire Tokyoでの結果発表にて優秀賞を受賞致しました。
IEEE TOWERS 2025
「IEEE TOWERS」とは、「学生による学生のための学生の研究発表を、専門家以外にも分かりやすく説明することで、研究内容を企業・一般人・他の学生にも知ってもらうこと」を目的とした学会。若手研究者の異分野交流促進を目指し、IEEE 東京支部の後援のもと学生により運営されている団体で、年に一度行われる学会には、毎年AIシステム科の学生が参加し、研究発表を行なっています。
2025年11月に開催された「IEEE TOWERS 2025」では、比留間さんが『BME688センサを用いた客観的香水分類と「香りの地図」の提案』を、高橋さんは『匂いトリガー型共食コミュニケーションロボット対話基盤』を発表。当日会場では、参加者がポスター発表を行い、若手研究者同士、そして企業、研究者の方々との間で活発な議論が交わされました。たくさんの発表の中から、比留間さんの発表が、Undergraduate Student Award
※を受賞し、学科として4年連続の受賞となりました。
※Undergraduate Student Award‥大学学部生以下の中での最優秀賞
参加学生の声
比留間 きらな
AIシステム科 1年
埼玉県立川越西高校出身
「たのしいmicro:bitコンテスト2025」への参加
マイクロビットコンテストでは、「楽しく作る」をテーマに、加速度センサーと機械学習を活用した体験型ゲームの制作に取り組みました。攻撃的な表現だけにならないよう配慮し、パンチして遊ぶ「パンチングゲーム」と、なでることで進行する「仲良しモード」の二つを用意しました。親機には浮き輪の「ウパザウルス」に取り付けたマイクロビットを使い、子機としてプレイヤーの両手に装着したマイクロビットの加速度センサーで動きを取得します。パンチやなでる動作は機械学習によって分類され、無線通信で親機に送信され、指定された位置で正しくアクションできているかを判定します。結果はLEDにスコアやHPの減少、親密度の上昇として表示され、直感的にゲームの進行が分かる仕組みです。
企画は7月初旬から始め、8月上旬から中旬にかけて開発とプレゼン動画の制作を行いました。応募は作品内容をフォームで提出し、プレゼン動画をSNSに投稿する形式で、締め切りは8月中旬でした。動画制作は特に大変で、生成AIを使ってインパクトのあるオープニングを作り、CAPCutで編集を行いました。先生のお子さんが実際に体験してくれた様子を撮影できたことで、作品の魅力が伝わりやすい素材がそろい、完成度の高い動画になったと思います。
予選を通過すると決勝大会があり、決勝用に3分間の新たなプレゼン動画を制作しました。9月25日にはオンラインでZOOMを使った決勝大会が行われ、動画上映と質疑応答がありました。結果として優秀賞を受賞できたことは大きな自信につながりました。作品そのものだけでなく、「どうすれば魅力が伝わるのか」を意識して構成や表現を工夫したことが評価されたのだと思います。発想法やプレゼンテーションの授業で学んだ内容が実践の場で生かされ、技術と表現の両方が大切だと強く感じました。
「IEEE TOWERS」への参加
「IEEE TOWERS」では、香水をセンサーによって数値化し、客観的に評価できないかという研究を発表しました。もともと私は、香水をレコメンドできるアプリを作りたいという目標があり、その第一歩として香水の特徴をデータとして扱う方法を考えました。揮発性有機化合物を電気抵抗値として測定できる半導体型センサーを用いて香水のデータを取得し、その数値を主成分分析で解析しました。主成分分析を使うことで、多次元のデータを二次元マップに落とし込み、香水同士の距離関係を視覚的に示すことができます。
分析の結果、同一ブランドの香水ではフローラル系、フルーティー系など香調ごとにまとまる傾向が見られましたが、異なるブランドを混ぜるとブランドごとに分かれてしまうことが分かりました。そこで、アルコールの比率や安定剤、基材の違いが影響しているのではないかと考察しました。香りそのものだけでなく、製品としての構成要素が数値データに反映されている点が興味深く、香水を「科学的に見る」面白さを実感しました。
研究はマルチタスクで進める必要があり、前日にToDoリストを作って計画的に取り組みましたが、思い通りに進まないことも多く、スケジュールを組み直すのは大変でした。センサーの扱いはクラスメイトの高橋さんにサポートしてもらいスムーズに進みましたが、分析や考察の部分では何度も悩みました。特に、温度変化によって抵抗値が変わる特性をどう活用するかが難しく、公式の温度プロファイルを参考にしながら、自分なりに条件をアレンジしました。
プログラミングの基礎やセンサーのライブラリ、統計的な分析手法など、授業で学んだ内容が研究全体を支えていました。分からないことは書籍で調べ、それでも難しい部分は先生方に相談するという流れを繰り返し、エンジニアとして必要な調べる力や考える力が身についたと感じています。発表の場では多くの大学生や大学院生の研究を見て、自分の研究がまだ発展途上であることを実感すると同時に、大きな刺激を受けました。また、香水を実際に嗅いでもらう体験型の発表を行ったことで、印象に残る発表ができ、新規性のある研究として評価してもらえたのだと思います。
二つのイベントへの参加を通して得たもの
「micro:bitコンテスト」と「IEEE TOWERS」の両方を経験して、技術力だけでなく「伝える力」と「考え続ける力」の重要性を強く感じました。「micro:bitコンテスト」では、誰でも楽しめる形に技術を落とし込む工夫や、作品の魅力を分かりやすく伝える表現力を学びました。「IEEE TOWERS」では、データをもとに論理的に考察し、研究としてまとめる姿勢や、専門性の高い場で発表する緊張感と達成感を得ることができました。
また、外部の発表の場に出ることで、自分の視野が大きく広がりました。自分よりも高いレベルの研究に触れ、「もっと学びたい」「もっと成長したい」と思えるようになったことは、何よりの収穫です。技術を学ぶだけでなく、それをどう社会に生かすか、どう人に届けるかまで考える姿勢を身につけられたと感じています。今後もこの二つの経験を土台に、研究とものづくりの両方に挑戦し続けていきたいです。
高橋 佳希
AIシステム科 1年
静岡県立伊豆中央高校出身
「たのしいmicro:bitコンテスト」の参加
「micro:bitコンテスト」では、グループで「鬼ごっこと宝探しを組み合わせたハイブリッドゲーム」を制作。コンセプトは、運動が得意でない人でも勝負に参加できるゲームにすることです。通常の鬼ごっこは走る速さや体力が勝敗に大きく影響しますが、今回は一定距離から捕まえることができる仕組みを取り入れることで、体力差を埋める工夫をしました。また、逃げる側は安全に逃げ続けるだけでなく、フィールドに配置された宝を取りに行かなければならないため、リスクと戦略性のあるゲーム性を持たせました。
技術的には、腕に装着したマイクロビットを用い、振動を使って相手との距離を推定し、近くにいるプレイヤーを捕捉する仕組みを構想しました。宝アイテムを複数配置し、捕獲が完了した側と宝をすべて集めた側のどちらが先に達成できるかで勝敗を決めるルールです。鬼ごっこに宝探しの要素を加えることで、単純な追いかけ合いではなく、判断力や駆け引きが求められるゲームになると考えました。
しかし、結果として今回は選出には至りませんでした。コンテスト全体を振り返ると、機械学習を活用した作品が多く、センサー中心の構成だけでは相対的にインパクトが弱かったことを実感しました。編集面ではVoicevoxの音声やフリー素材を使い、構成や見せ方を工夫しましたが、実際の体験映像を用意できなかったことが大きな弱点だったと感じています。遊んでいる様子が伝わらないと、作品の魅力も十分に伝わらないということを強く学びました。
一方で、マイクロビットの魅力も改めて実感しました。振動、光、音といったさまざまな要素に簡単に反応でき、少し工夫すれば何でも形にできる柔軟さがあります。だからこそ何を作るかで迷うほど可能性が広く、アイデア次第で表現の幅が無限に広がるデバイスだと感じました。この経験は、ものづくりの自由度と難しさの両方を知る貴重な機会になりました。
「IEEE TOWERS」への参加
「IEEE TOWERS」では、「匂いをトリガーにした共食型コミュニケーションロボット」という構想を発表しました。背景には、ひとりで食事をする「孤食」が増えている中で、少しでも孤独感を和らげられないかという思いがあります。匂いを検知したことをきっかけに会話が始まるロボットを作ることで、食事の時間をより楽しいものにできるのではないかと考えました。
既存研究ではカメラや画像認識を使ったアプローチが多く、そこに「匂い」という新しい切り口を入れることで差別化を図ろうとしました。構想としては、匂いセンサーと音声認識、発話モジュールを組み合わせ、食べ物の匂いを検知するとロボットが反応して話しかける仕組みを目指していました。しかし、音声側の機能がうまく動作せず、時間切れでデモを完成させることができませんでした。そのため今回は、完成品としてではなく、導入コンセプトとしての発表となりました。
学会では、他大学や大学院の研究を見ることができ、大きな刺激を受けました。分野も内容も本当にさまざまで、自分が知らない専門用語や研究テーマが多くありましたが、それでも分かりやすく説明している発表が多く、伝える力の重要性を強く感じました。長い時間をかけて研究を続けている人たちの姿を見て、純粋にすごいと思いましたし、自分ももっと学びたいという気持ちが強くなりました。
また、自分自身が発表する側に立ったことで、研究を人に聞いてもらう楽しさも実感しました。自分が面白いと思って考えたことを、誰かが興味を持って聞いてくれるのはとても嬉しく、発表という行為そのものにやりがいを感じました。今回は未完成の状態でしたが、このテーマは今後も継続して考えていきたいと思っています。ただし、当初から興味を持っていたCGやライブ演出、ネットを使った表現の分野へも軸足を移し、ものづくりで人を楽しませる方向性をより明確にしていきたいと考えるようになりました。
二つのイベントへの参加を通して得たもの
「micro:bitコンテスト」と「IEEE TOWERS」の二つを経験して最も大きく感じたのは、わからないからこそ挑戦することが大事だということです。最初からやりたいことが完璧に決まっているわけではなく、やってみて初めてこれは違う、これは面白いと分かることも多いと実感しました。賞を取れなかった経験も含めて、実際に現場に行き、人が楽しそうにしている姿を見ることで、自分は人を楽しませることをやりたいんだという思いがよりはっきりしました。
また、アイデアを人に話すこと、発表することの大切さも学びました。頭の中だけで考えていると曖昧だったものが、言葉にして外に出すことで整理されますし、他人の反応から新しい気づきも得られます。挑戦しなければ失敗も成功もなく、自分の方向性も見えてこないのだと思います。
今回の二つのイベントは、結果だけを見ると大きな賞を取ったわけではありませんが、自分の進みたい道を再確認し、ものづくりへの気持ちを強くするきっかけになりました。これからも「とりあえずやってみる」という姿勢を大切にしながら、人を楽しませる表現や作品づくりに挑戦し続けていきたいです。