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第13回 高校生けんちくコンテスト

結果発表

結果発表

テーマは「いきたい学校」

(応募総数25作品)

審査員長

渡辺 真理(建築家/設計組織ADH代表/日本工学院 建築系学科 エグゼクティブアドバイザー)

審査員

吉田 哲(日建設計設計技術部門 テックデザイングループBIMマネジメント部 ダイレクター)
髙木 秀太(建築家/プログラマ/合同会社髙木秀太事務所代表)
渡辺 朋代(オートデスク株式会社 エデュケーションマネージャー)

受賞作品

※受賞者の高等学校は受賞当時のものです

金賞

審査員特別賞(渡辺真理賞)同時受賞

LANGRIDGE ~言葉と出合いでつなぐ、世界への橋~

富松 凜
東京都立戸山高等学校

LANGRIDGE ~言葉と出合いでつなぐ、世界への橋~
LANGRIDGE ~言葉と出合いでつなぐ、世界への橋~

審査員コメント

人とのコミュニケーションには言語が不可欠です。外国語を学ぶことで世界に接続することができるようになります。「LANGRIDGE」という造語に「言語は人と人をつなぐ橋である」という作者の気持ちがストレートに表現されています。AIが会話を補助してくれる時代ですが、それは多文化コミュニケーションの必要性と重要性をよりいっそう私たちに示唆するものです。「壁いっぱいの落書きボード」のある学校空間という提案にもコミュニケーションが大切なのだという作者の意図がよく伝わってきます。ただ、審査の中で、学校の建築形態を多面体(立方体と立方体から切り出された多面体)で構成するというフォルマリズム的なデザイン手法と「LANGRIDGE」の関係がわからないという意見があったことを伝えておきます。2種類の多面体と世界中の国旗の主要5色から構成されるステンドグラスの学校はとても斬新で、抽象的で、理想主義的ですから、新しい学校のフォルムとして十分魅力的と思いますが、「LANGRIDGE」の概念から導き出される学校の形態はもっと自由で柔らかなものであっても良いのではないだろうか、という問いかけも本質的なので、熟考することでまた新たなデザインを生むきっかけになるかもしれません。あなたもぜひ考えてみてください。(渡辺 真理)

銀賞

Blue Ocean Academy ~非日常を日常に~

佐古井 優衣
東京都・私立芝浦工業大学附属高等学校

Blue Ocean Academy ~非日常を日常に~
Blue Ocean Academy ~非日常を日常に~

審査員コメント

提案で第一印象はとても大切です。非日常を日常に変えるさまざまなアクティビティが生き生きとして描かれて、とても楽しそうな学校が表現されています。また、日本語と英語を併記することにより多国籍の学生が集うところのイメージにも繋がりました。
教室は、透明な壁と高い天井を持つ円筒形の構造となっており、これにより開放的な学習環境を目指しており、生徒たちは他の教室の様子を互いに見たり、アイデアを交換できる交流の場となります。
また、海の上に建てられているという非常にユニークな特徴で、広大な海の景色を楽しむことができ、新鮮な魚での食育の機会も得られます。
潮力や太陽光などの再生可能エネルギーを生成し、学校が環境に配慮した運営を行うことも考えられており、Blue Ocean Academyは、海を生かした自然環境を最大限に活用し、生徒間の交流を促進する開かれた、持続可能な学びの場を目指していることが魅力的で「いきたい学校」と感じました。(吉田 哲)

銀賞

とらべる、まなべる、すくーる

原田 朱里
兵庫県・国立明石工業高等専門学校

とらべる、まなべる、すくーる

審査員コメント

建築家が様々なモビリティ(=乗り物)をデザインする時代になりました。特に鉄道はその事例が多く、車体そのもののデザインから、座席や内装の空間デザインまで、多種多様です。食事をする食堂車をおしゃれなデザインに彩る取り組みも、実際にあったりします。旅や移動を豊かにする工夫を「建築設計」の視点でチャレンジしているんですね。これらの事例はいずれも素晴らしい取り組みばかりなのですが、しかし、いずれも「鉄道」という既存の使い方の枠を出ないチャレンジであるという印象です。「とらべる、まなべる、すくーる」はこの既成観念を自由な発想によって超えていく提案でした。学校という空間そのものが電車になり、日本全国を駆け巡る――このユニークなコンセプトが審査員の評価を得ました。

『この電車が走る限り、日本全体が「学校」となり、出会った人、風景のすべてが「先生」となる』。作品シートに記されたこの一文が良いですね。ワクワクが詰まっています。友達と日本中(いや、世界中も?)を旅しながら勉強ができたら、本当に楽しそうです。(髙木 秀太)

銅賞

日本文化交流学校

長道 希空/利根川 未紗
埼玉県・さいたま市立大宮国際中等教育学校

日本文化交流学校
日本文化交流学校

審査員コメント

フレーム上にしたコンテナを複数連結することで、日本、イギリス、サウジアラビア、インド、中国、イタリア、これら各国の学校を一つに集めよう、というコンセプトの提案です。各国の家具や装飾、建築様式、デザインコードに敬意を払い、それらを倣う空間を造形するアイデアはシンプルですが、それらが結集した中央の中庭にこそ面白みがありそうです。「バラバラであることの豊かさ」(=多様性)が感じられるような不思議な魅力の一端が模型の内観写真にも表れています。6色のガラス屋根を通して入ってくるさまざまな光の下で、世界中の学生たち集まり、そして、ともに学校生活を送れたら、きっとそれは提案通りの素晴らしい学校になりそうです。

建築とは、単に「人を守るための装置」だけにあらず、「人を集めるための装置」でもあると思います。この学校はそんな建築の力を最大限に生かし、世界全体をも結びつけるような期待を抱かせてくれる作品です。(髙木 秀太)

銅賞

青春満喫学校

坂本 るか
群馬県立桐生清桜高等学校

青春満喫学校
青春満喫学校

審査員コメント

円筒形の校舎1階(半地下?)には体育館があり、2階と3階には教室が、最上階は図書室になっているという自己完結型の空間構成を持つ学校は、建物周囲が連続バルコニーになっていて「みんなが繋がれる」ようになっているだけでなく、建物の中央部が大きな談話室や休憩室として使える共用空間であることが特徴的です。一般に学校空間は機能的かつ合理的で自由な共用空間はほとんどないことが多いのでこの指摘は鋭いと思いました。談話室、休憩室、図書室の中心にある円形についての説明がありませんが、屋上に煙突のように突出したエレメントが描いてあるのでエレベーターか螺旋階段なのでしょうか?4階にある図書室とシアター室がとてもユニークで、外壁側にあるシアター室は大きく3つのセクションに分かれていて、巨大なスクリーンの映像を楽しむことができます。もしかしたらスクリーンは360度連続しているのかもしれません。ダイナミックな図書室のパースが魅力的ですから、図書室は屋上を突き抜けて立ち上がっているように全体パースを修正するともっと迫力かもしれません。このように、自分の夢を自由な想像力で描き切っているところに多くの審査員が引き込まれました。(渡辺 真理)

銅賞

Spred -水紋の図書館-

申 海嵐
東京都・私立鴎友学園女子高等学校

Spred -水紋の図書館-
Spred -水紋の図書館-

審査員コメント

最初に「いきたい学校」から「いきたい図書館」になっていますが、この提案は、問題提起があり、それを解決する手法、コンセプトを表すモチーフデザイン、具体のアクティビティが示されており、内容的にバランスの取れた提案でした。
高校生の読書活動推進という明確な課題に対し、建築的物語性をもって応える包括的なデザインソリューションになっており、「母の胎内」という生命的な理念から「水紋」という中心モチーフを導き出し、オリーブの木、光と雨、水の音、活版印刷を模したコンクリートといった象徴的なディテール群へと展開させることで、すべての要素が相互に連携し、一貫した没入型の空間体験を創出できていると感じました。
建築が単に機能を収める器ではなく、思想を宿し、利用者の知的好奇心を喚起し、行動を誘発する媒体となり得ることで、「図書館」という枠にとどまらず知識を学ぶ「学校」に昇華できる提案であることを証明しています。それは、建築の物語性が知的探求心を育む、未来の文化施設のプロトタイプとしての可能性をもつと思いました。
最後に本と水の湿気とは結構同居が難しいのですが、良い解決法ができるとよいですね。(吉田 哲)

AUTODESK賞

国橋 ~国を結ぶ商店街~

増田 ゆずな
静岡県立浜松工業高等学校

国橋 ~国を結ぶ商店街~

審査員コメント

「国橋 〜国を結ぶ商店街〜」は、手描き図面からも制作者の明確な構想力と空間把握能力が伝わってくる作品でした。特に、手で描かれた図においてパース表現が的確に反映されており、空間の広がりや立体的な奥行きが非常に分かりやすく示されていました。
コンセプトである“国を結ぶ商店街”というテーマも、商店街というイメージが視覚情報と構成の工夫によって力強く表現されており、作品全体に一貫した物語性を感じました。この空間が実際に3Dで構築された際、どのような臨場感や新たな魅力が立ち上がるのかをぜひ見てみたい、そう思わせる高い完成度でした。受賞おめでとうございます。(中村 翼)

審査員特別賞(吉田哲賞)

理想の校舎 ~学習環境と心地よさを融合させた空間~

大島 優里奈
東京都・私立日本体育大学荏原高等学校

審査員コメント

実業で設計をやっておりますが、この案が一番堅実で尚且つ「学習環境と心地よさの融合」が提案できていると思いました。技術的にもそれほど破綻はなく建てようと思えば建てられます。
モデリングやレンダリングソフト、模型もよく使いこなせており、コンセプトをしっかり伝えることができていると思います。
外装のダブルスキンで環境に配慮したり、型板ガラスによる光の演出など均質になりがちな教室が心地よい空間になりました。パティオの樹木や要所要所に木材を使うなど、素材の心地よさも表現できていると思います。
惜しいのは実際に設計で仕事をしている設計士にも多いのですが、良い空間をまとめるところで尽きた感があります。本来はそこで繰り広げられるアクティビティ(学校なので、学びの様子ととか生徒間での交流とか、実験など空間を使った授業等)があると思いますが、どう使っているかのイメージを入れていただけると、もっと「いきたい学校」になったと思います。
建物の提案としては非常に良くまとめられていたのでいろいろな表現などで幅を広げられると良いですね。(吉田 哲)

審査員特別賞(髙木秀太賞)

しぜんと生きるツリースクール

松浦 美月/柴田 実音
愛知県・国立豊田工業高等専門学校

しぜんと生きるツリースクール
しぜんと生きるツリースクール

審査員コメント

「しぜんと生きるツリースクール」は自然との共生をテーマに提案された新しい学校です。ツリーハウスというダイナミックな造形に目を奪われがちですが、自然発電のシステムや自給自足の食育プログラムなど、「自然の学校」として、教育のコンテンツまで考えられた作品でした。作品内で『建物が自ら成長する』というコンセプトが提示されますが、建物そのものでさえも自然に見立てた、すばらしい視点だと思います。植物のように成長する学校が本当にあったらドキドキしますね。
作品シート1枚目、紙面いっぱいにレイアウトされたスケッチ(パース)がとても魅力的でした。自由に成長した木々、隙間を縫うように配置された小屋、迷路のような通路や階段、美しい木漏れ日―このスケッチがたくさんの提出作品の中でよく目立ちました。まるで、「この作品を見て!」と作者の代わりにアピールしているようでした。建築設計は自身の想いを誰かに伝えるところから計画がスタートします。一人では建築は作れないからです。これからも素敵な建築パースで、その想いをアピールしてほしいです。(髙木 秀太 氏)

学校賞

岡山県・私立金光学園高等学校

渡辺真理 審査委員長 総評

2025年度は応募期間をこれまでより約1ヶ月前倒しにしました。夏休み期間を作品作成の場に充当することで応募する高校生の負担を減らそうという意図だったのですが、逆に、高校生の作品制作時間および高校のカリキュラムと整合しにくいことになってしまったのか、応募数がふるわない結果になりました。この辺りは来年度に向けて再調整を図りたいと考えています。但しエントリー作品の多くが作品コンセプトのレベルが高く、応募者それぞれの<いきたい学校>を表現していたのは嬉しい限りでした。
今回は諸般の事情からオンラインで審査を行いました。それぞれの審査員が5票ずつ投票し、票を得た作品について全員で協議する形で進行しました。また5票の持ち票には入らなかった次点の作品についても、審査員から推薦がある場合には他の審査員に諮った上で選考の対象に加えました。さらに拾いおちがないかを確認するため、全作品を再閲覧し、8作品を評価の対象としました。各作品について何度か議論を行い、最後に審査員の挙手により金賞には「LANGRIDGE」が選定されました。

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