2010年7月26日~9月20日まで実施していた「高校生デジタルフォトコンテスト」に全国からたくさんのご応募を頂きましてありがとうございました。応募総数682点という多くの作品の中から、グランプリ以下13作品を選ばせて頂きました。どの作品も「高校生活」というテーマを存分に表現していて、審査員の先生方も選考に大変苦労していました。その中でも先生方をうならせた13作品です。
清水哲朗氏
横浜市出身。日本写真芸術専門学校卒業後、写真家・竹内敏信事務所入社。23歳でフリーランスとして独立。独自の視点で自然風景からドキュメントまで幅広く撮影。2007年、NHK教育テレビ『趣味悠々』デジタル一眼レフ風景撮影術入門講師として出演。著書として風景を撮る!『写真の学校』(雷鳥社)などがある。社団法人日本写真家協会会員
菅野幸男氏
宮城県仙台市出身。オリンパスイメージング株式会社に入社し、オリンパスデジタルカレッジ(写真教室)を企画・運営。年間500回以上の写真教室を開催。オリンパスデジタルカレッジインストラクター フォトマスターエキスパート。
小泉修氏
日本工学院放送制作芸術科を卒業後、写真家・三好和義氏に師事。アディダス、コーセー、TAYA、AERA等、ファッション、ビューティーの他、風景写真でも多くの作品を発表するなどジャンルにとらわれず活動中。2006年より日本工学院グラフィックデザイン科講師として後進の育成にも携わる。
京森一五氏
ビクター音楽産業株式会社宣伝部、東急エージェンシーインターナショナル株式会社制作部など数社でデザイナー、アートディレクターとして活動したのちデザイン制作会社設立。会社代表を務めながら日本工学院専門学校非常勤講師、現在は日本工学院八王子専門学校グラフィックデザイン科およびWEBデザイン科 学科長として学生の指導にあたる。
水城高等学校 菱沼昌世さん
夏の風物詩高校野球の応援に参加してきました。野球部、応援団、在校生、一丸となってした応援は忘れられません。
今年とても暑い夏をすごしました。
グランドで奮闘する選手たちに届くよう、背番号のない選手たちが心一つに声援を送っています。誰一人として表情は見えませんが、肩を組み合い、波のように揺れ動いている姿には美しさすら感じます。視点の鋭さもさることながら、構図には少しの迷いもなく無駄がありません。画面からは彼らの声援が聞こえてくる錯覚すら起こります。見る側の感覚を刺激し想像力をかきたてる作品力はまさに“グランプリ”と呼ぶにふさわしいでしょう。(清水 哲朗氏)
青いメガホンを持った縦縞のユニフォームの男子学生に、ピンクの文字の入ったTシャツを着る女子学生を効果的に配した、撮影者のセンスの良さを感じさせる1枚です。メガホンのブルーとTシャツのピンクの対比が印象的です。タイトルの「打てや、うてっ」の大声援が、今にも写真から聞こえてきそうです。グラウンドでプレイしている選手に負けず、応援している一人一人が主役だと感じさせる力強い作品に仕上がっています。(小泉 修氏)
教室の片隅。こんなにも近くにいるのに届かない思い。伝えたいのに伝えられないもどかしさ。甘酸っぱい青春の1ページを逆光線で見事に表現しています。露出を見た目よりもかなり明るくオーバー気味のハイキー調に仕上げたことで“心のもやもや”が見る側にも伝わってきます。この露出が見た目と同じようになる日は来るのか。明るい露出のままなのか。作者だけでなく見る側をも巻き込む“ドキドキ感”がどうにもたまりません。(清水 哲朗氏)
柔らかい光に包まれた女の子の後姿、撮影者と女の子を阻む机が、青春時代の届かぬ思いを見事に表現しています。この作品を初めて目にした時、気がつけば、あたかも撮影者が自分であるかのように、作品の中で自分の青春時代を重ね合わせてしまいました。シンプルな作品でありますが、見る人を妄想の世界に引き込んでしまう作品です。(菅野 幸男氏)
茨城県立水戸第二高等学校
笠井 千彩さん
部活で撮影会に行った時,撮った写真です。私は水とか鏡とかに映った像を撮るのが大好きなので撮りました。キレイに水たまりに映った2人の姿がとてもお気に入りです。
実像を省略し、水たまりに映った二人を中心に写す事で不思議な空気感が伝わってきます。1枚の写真の中に、様々なストーリーを想像させるような素敵な仕上がりです。今回のコンテストでは映り込みを題材にした写真の応募が多数有り、どれも素敵な写真でしたが、被写体のレイアウト、太陽の映り込み、全体の構図等、見事に計算された笠井さんの写真が選出されました。これからも様々なものに映り込んだ、独自の世界観を追求して欲しいと思います。(小泉 修氏)
作者は水に映った影を撮るのが好きとのことですが、この写真は二人の顔が写ってないのがポイントです。そのため見る人の視線が影に集中するんですね。二人の表情も想像してもらおうという意図があるのかもしれません。ところが写真をグルッと逆さまにしてみると、おや影が主役になりました。さらに二人のにこやかな表情が見えるような気がします。人生も含めたコントラストのある写真です。(京森 一五氏)
川崎市立川崎総合科学高等学校
竹野 優美さん
私の学校生活をありのままに撮りました。鏡に映った友達を撮ったつもりでしたが、その後ろでおかしな事をしている二人が写っていました。私がいつも思う事はカメラは偶然を映し出すものだなと感じることです。
鏡の中に写る女の子の何とも言えない楽しい表情、鏡に顔半分だけ入れた大胆さ、左隅に少しだけ写っているデジタルカメラ、非常に計算し撮影されています。さらに、写真を撮っていることなど気にもしていないかのように、後方でドリンクゼリーを食べている2人がコミカルで見る人を楽しませてくれます。1枚の写真の中で女子高校生の楽しい学生生活、まさに「日常」を語ってくれる、何とも楽しい作品です。(菅野 幸男氏)
鏡に友達の顔を映して撮ってみたら、アララ、右端の後ろでへんなことをしている二人がいます。ファインダーを覗いたときには気がつかなかった偶然のワンショット。狙って撮れるものではない演出なしの一枚。このカオスな画面の中に楽しげな高校生活が凝縮していますね。友達の顔を鏡に映しただけだと普通の写真になってしまったけど、後ろの二人がこの写真を決定づけてくれました。重要な脇役がいて主役が引き立つ一枚になりました。(京森 一五氏)