2015年7月 24日~9月30日まで実施していた
「第6回高校生デジタルフォトコンテスト」に全国からたくさんのご応募を頂きましてありがとうございました。
応募総数1,083点という多くの作品の中から、グランプリ以下14作品を
選ばせて頂きました。
どの作品も「高校生活」というテーマを存分に表現していて、審査員の先生方も選考に大変苦労していました。その中でも先生方をうならせた14作品です。
なお、受賞作品は、2015年11月27日(金)~12月2日(水)までオリンパスプラザ東京で展示予定です。ぜひお越しください。
清水哲朗氏
横浜市出身。写真学校卒業後、写真家助手を経て、23歳でフリーランスに。ライフワークとしているモンゴルでは、独自の視点で自然風景からスナップ、ドキュメンタリーまで幅広く撮影。2005年「路上少年」で第1回名取洋之助写真賞受賞。個展開催多数。公益社団法人日本写真家協会会員
www.tokyokarasu.net
菅野幸男氏
宮城県仙台市出身。大学卒業後、総合電機メーカーを経て、2003年オリンパス株式会社に入社。オリンパスデジタルカレッジ(写真教室)を企画・運営。オリンパスデジタルカレッジインストラクター フォトマスターエキスパート。
小泉修氏
日本工学院放送制作芸術科を卒業後、写真家・三好和義氏に師事。アディダス、コーセー、TAYA、AERA等、ファッション、ビューティーの他、風景写真でも多くの作品を発表するなどジャンルにとらわれず活動中。2006年より日本工学院グラフィックデザイン科講師として後進の育成にも携わる。
川口貴弘氏
アートディレクター&グラフィックデザイナー。多摩美術大学デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業後、株式会社スタジオワープ、株式会社日本デザインセンターを経て、タックデザイン(takdesign inc.)設立。「デザイン」を通して、さまざまな問題の解決に取り組んでいる。JAGDA会員。
渋谷教育学園幕張高等学校 東浦 千苗さん
体育祭の日。廊下でリレーのバトン渡しを練習していた友達にカメラを向けていたはずだったのですが、
気づいたらこんな写真が撮れていました。表情があまりにも良いので気に入っています。
清水哲朗氏
好奇心のままに行動してしまう奔放な主役とちょっぴりクールな脇役。コメディータッチの内容に審査員一同惹きつけられました。漫画を実写化するとこういうシーンがありそうですね。構図は粗削りですが、作品には勢いがあり、単写真としての大切な要素“舞台・主役脇役・物語性”を取り入れている点は見事。被写体とのコミュニケーション能力、信頼関係の構築、抜群の撮影距離感覚が作品の臨場感を生み出し高評価へとつながりました。清水哲朗氏
小泉修氏
6回目にして、「目線有りの写真」が初めてグランプリに輝きました。普通、目線有りの写真を撮ろうとすると、どうしても記念撮影的な写真になる事が多いのですが、この写真は見る者にインパクトとストーリーを感じさせる写真に仕上がっています。後ろに写る友達の顔が半分切れるなど、良く言えば大胆な、悪く言えば雑なフレーミングですが、被写体に真っ直ぐ向き合う姿勢を、高く評価しました。小泉修氏
小泉修氏
虹が出ていると、レンズを虹に向けてフレーミングを考えたくなるのが普通ですが、敢えて水溜りに映った虹にレンズを向けたセンスが光ります。虹と一緒に映り込んだコンビニの看板、シルエットになった人物も印象的です。この写真を撮ろうと思い、自分でジャンプして、友達にシャッターを押してもらったのかな?写り込みを利用した作品は少なく無いですが、とても完成度の高い1枚に仕上がっています。小泉修氏
川口貴弘氏
喜劇王チャップリンが「下を向いていては『虹』を見つけることができない」と言っていますが、もしこの作品をチャップリンが見たら絶賛したのではないでしょうか。違った角度から世界を観察している視点、その対象を、雨上がりの水たまりの中に見つけ出したこと、とても秀逸であると感じました。また、未来への架け橋である『虹』を、さらにジャンプして飛び越えていく姿は、とても頼もしく写ります。これからもポジティブな作品を撮り続けて下さい。川口貴弘氏
清水哲朗氏
本気で応援するってこういうことかもしれません。写真からも熱意がひしひしと伝わってきました。随分と被写体に助けられた印象がありますが、作者は冷静に無駄のない画面構成でタイミング良くとらえています。惜しいと感じたのは光源の色かぶりが強すぎたこと。また「たら・れば」話で恐縮ですが、カットした吹奏楽部員の表情をとらえ、作品にストーリー性が生まれていたら、さらなる評価があったかもしれません。清水哲朗氏
菅野幸男氏
撮影環境の厳しい、暗い室内の中で、開放F値の明るいレンズと高い感度設定で、気合の入った応援団の表情、格好を見事に捉えています。背景に入れた、吹奏楽部員や楽器の配置もすばらしく、写真に臨場感が加わり、今にも音が聞こえて来そうです。撮影者の技術の高さが光る作品です。菅野幸男氏
彼女の「マイペース」と部活中の瞬間が上手に撮れている作品でした。よっぽどお腹が空いていたのか、彼女の屈託のない表情もこのようにプリントして見るとまた素敵です。プリントするといろいろなところが見えて、そして想像が出来て面白いです。左奥では眠くて?はたまた精根尽き果て?うつぶせ寝している子も。これからもその時にしか撮れない写真をプリントして仲間同士意見しあうと、これからの写真活動ももっと楽しくなりますね。受賞おめでとうございます。
清水哲朗氏
撮るほうも撮られるほうも周囲にいる生徒たちにも言えるのかもしれませんが、高校生って自由だなというのが第一印象です。伸び伸びとした高校生活そのものを素直にとらえたことが良い結果を生みました。主題の女子生徒は誰かに相手にされることを前提にやっている気もしますが、題材の宝庫とも言えるこのシチュエーションに出くわし、シャッターを押し、高く評価されたことは写真家にとって必要な強運。今後の活躍にも期待します!清水哲朗氏
徳島県立阿南工業高等学校
片山 裕也さん
本校で行われた文化祭で撮影したものです。校長先生と生徒が囲碁の対戦をして先生が負けてしまい降参しているところです。
神奈川県立瀬谷高等学校
今野 匠さん
いつも仲良し2人組。ふたりは似ているところも多いみたい。
栃木県立鹿沼商工高等学校
齊藤 愛馨さん
二人の女の子がふわふわと夢の中で、雨の日に散歩をしている姿からこのタイトルをつけました。手をつないで笑顔に歩く二人はどこにいくのでしょうか。
岐阜県立岐阜総合学園高等学校
高木 優衣さん
「ゆうやけコンサート」という学校の行事を撮影しました。吟詠剣詩舞部が宙を飛んでいます。その力強さに見入ってしまい、いつの間にかシャッターを切っていました。
北海道旭川西高等学校
高松 美聡さん
遠征で顧問の先生に連れて行っていただいた鎌倉での写真です。北海道には無い景色でシャッターを切るのがとても楽しかったです。
東京都立上野高等学校
田原 敦さん
この写真は文化祭で撮ったものです。私はこの写真は高校生というものが出ていると思います。本来、メイドカフェのメイドは女性がやるものですが、それを男がやってしまう。そんなことが出来るのは高校生というノリがあるからこそ出来るのだと思います。
秋田県立仁賀保高等学校
土門 紗弥さん
夜の真っ暗な背景に人物が街灯に照らされている写真です。大事な人からのLINEを待っている様子が現代らしいと思います。
純心女子高等学校
長尾 玲緒奈さん
体育大会の3学年合同リレーで3年生に負けず、堂々と一番でゴールした2年生の姿です。
沖縄県立八重山高等学校
仲本 華奈さん
お昼休み、売店から教室に戻る途中でパシャリ。卒業して、島を出たらこの景色も見れなくなるんだなと思うと、ちょっと悲しい気持ちに。よし、青春するぞ。
※よーく見ると飛行機雲が2つ!
東京都立若葉総合高等学校
樋口 苑子さん
こんな空間だって、大切だ。
清水哲朗氏
高校生活は喜怒哀楽の連続です。それだけに技術や知識、カメラの良し悪しに関係なく写真に収めるだけで輝く世代でもあります。第6回となった今回も審査員一同、自分の高校生活体験を思いだしながら、写真に収められた現在の高校生たちの伸び伸びとした姿を羨ましく眺めていました。1000点を超える応募作品は力作揃いで、一次予選通過作品がこれまで以上に多く審査テーブルに並べられ、最後まで白熱した投票が繰り返されました。マカンコウサッポウや皆でジャンプするなど、流行の作風や過去の受賞作品を意識したものも多くありましたが、フォトコンテストでは既成イメージを打破し、共感を生む作品でないと「楽しい写真だね。いい思い出になったね」というだけに終わってしまいます。また、本来裏方であるべき写真部員が同士を撮影した写真はアプローチがあまりにも安易で、被写体探しを回避しているという点で早々に選外となっていきました。高校生のアイディアと行動力は無限です。もっともっと自由に、評価など気にせずにありのままの姿を写真で伝えてください。次回は我々の予想をはるかに上回る作品が応募されることを期待しています。清水哲朗氏