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ネットワークセキュリティ科 NEWS & TOPICS

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ネットワークセキュリティ科 NEWS & TOPICSネットワークセキュリティ科 NEWS & TOPICS
2022年01月20日
蒲田校

【第2回講義】セキュリティエンジニアという仕事

最前線で活躍するプロが語る“セキュリティの仕事”
情報やシステムを守るプロフェッショナル、セキュリティエンジニアとは

私たちの生活やあらゆるビジネスの分野、さらには社会全体でインターネットが利用されている現在。「ハッキング」「不正アクセス」などのサイバー攻撃による個人情報流出や乗っ取り、システム破壊などがニュースになることが多くなり、ネットワーク利用者の情報セキュリティの意識が高まってきています。そこで今、業界で注目され、急速に人材確保が進められているのが、サイバー攻撃から情報やシステムを守るプロフェッショナル、セキュリティエンジニアです。
セキュリティエンジニアは、情報セキュリティを専門に担当するエンジニアのことで、サーバーの構築や運用・保守を専門とし、セキュリティに配慮したシステム設計・運用、未然にサイバー攻撃を防ぐための調査や対策などを行います。

ITカレッジではセキュリティエンジニアの仕事についての理解を深めるため、サイバーセキュリティのトップ企業である株式会社ラックによる第二回目となるオンライン講義を開催。セキュリティエンジニアとして、つねに先端の技術と情報を駆使してネットの安全を守ってきたプロフェッショナルなお二人に、これまで携わってこられたお仕事や、セキュリティエンジニアに必要なことなどをお話ししていただきました。

サイバーセキュリティイメージ

次世代セキュリティ技術研究所 所長(LACERT兼務) 小笠原 恒雄氏

情報収集と攻撃の再現検証などでセキュリティスキルを高める

私は2001年の入社以来、ずっとセキュリティの仕事に携わってきました。入社当時はファイアーウォールやIDSの製品サポート業務を担当していましたが、ちょうど株式会社ラックがセキュリティ事業を拡大する時期で人が足りなくなり、ネットワーク監視業務など様々な業務を経験することができました。私は入社当時UNIXがプログラミング言語だと思っていたくらいIT系の知識には強くなかったのですが、新入社員研修でサーバーやネットワークの構築をしながら、経験とともにスキルアップしていきました。

小笠原 恒雄氏

その後、インターネット上に公開された脆弱性情報やラック社が独自に調査・検証した結果を統合して、日本語で参照・利用できるようにした脆弱性情報配信サービスの提供に携わり、また雑誌にセキュリティの記事の執筆も行うようになりました。今では脆弱性とそれに関連する情報は適切に扱われる仕組みがありますが、当時はまだ情報の流通や取り扱いが確立されておらず、脆弱性の対策状況やどういう時に攻撃が再現するのかと言ったことを整理してお客様に配信するということが重要でした。情報収集だけでなく、この時に行っていた脆弱性を悪用する攻撃プログラム(エクスプロイトコード)を実際に入手して、サイバー攻撃の再現検証を行うなど、実践的に取り組むことが、セキュリティに対する知識・スキルを高めるポイントとなったと思います。

つねに新しい技術を取り入れ、前進するサイバーセキュリティ

セキュリティの技術は日々進化しています。2008年頃から、コンピュータフォレンジック技術やログ分析の技術を使い、どういう攻撃をされて侵害事実があるのか、侵害された場合の影響範囲について調査・分析を行い、お客様の環境で生じるセキュリティインシデントに対応する業務を開始。さらに2012年にはネットワークフォレンジックを活かしたサービスが始動。これは、ネットワーク上のデータの動きを記録、その内容を調査・解析してサイバー脅威やセキュリティインシデントなどの不正通信を特定する技術のことです。ネットワークフォレンジックの技術は海外のカンファレンスで知り、日本でも取り入れようと「情報漏洩チェックサービス」というサービスを当時の上司と共に立ち上げました。

現在の業務内容はインテリジェンス(情報収集・分析)の研究開発を主に行なっています。さまざまな事例に対応するセキュリティツールの研究開発や、コンピュータウイルスやスパイウエアなど、マルウエアと呼ばれる不正プログラムの解析の自動化、インターネット上に公開されている情報をインテリジェンス化するOSINT(Open Souce Intelligence)に取り組んでいます。

ネットワークフォレンジック

さまざまな経験すべてを力として活躍できる仕事、セキュリティエンジニア

IT業界をめざすなら、自分は一つのテーマについて掘り下げることができるスペシャリストか、複数のタスクを並行して行うのが得意なゼネラリストなのかを把握することが必要です。スペシャリストはシステム構築やプロジェクトに必要となる情報や知識、スキルを持って活躍することができます。ジェネラリストはシステムやプロジェクトを総括する力があります。どちらも業界に必要な人材なので、自分に合った業務を選択していくのがよいでしょう。そしてセキュリティエンジニアとして活躍するためには、最新のデジタル技術を幅広くチェックし、学ぶことが必要です。例えば仮想通貨とかAIの技術など関連する技術もセキュリティスキルにつながる部分があります。セキュリティエンジニアだからといってセキュリティの技術だけを追うのではなく、つねにアンテナを広げ、情報収集する癖をつけておくことが大事です。

私もこれまでにさまざまな経験をしてきましたが、若い頃に手を動かしてサーバー構築やネットワーク設定などを手掛けた経験が、今の仕事に生きているのを感じます。自分が積み重ねてきた経験が10年、20年後に生きて、将来の土台を築くのは間違いありません。社会に出た後も勉強が必要です。自分のスキル磨きのために色々な取り組みを続けて欲しいと思います。

セキュリティエンジニアはまだまだ認知されていない業種かもしれませんが、確実にこれからさらに需要が高まる仕事です。みなさんも、社会を守るセキュリティの仕事にぜひチャレンジしてみてください。

ジェネラリストとスペシャリスト

次世代セキュリティ技術研究所 リサーチャー 髙原 健氏

幅広い魅力を持つセキュリティエンジニアの仕事

前職ではISPのポータルサイトの開発、電力需給管理システムの開発などを担当していましたが、セキュリティ技術に興味を持ち、2019年に株式会社ラックに入社。現在、技術・開発系のリーダーを担当し、Python(パイソン)勉強会を実施したりして、コードレビューを行なっています。

セキュリティエンジニアの仕事は、社会に安心・安全を貢献できる仕事に携わることができ、大きなやりがいを感じることができる魅力ある仕事です。セキュリティというと専門分野に特化した狭い分野の様にも思えますが、実際は幅広く活躍するシーンのある業種です。セキュリティエンジニアは、プログラミングを行うシステムエンジニアと、ネットワークなどの構築をするインフラエンジニアの仕事の両方に触れることができ、またセキュリティ系の新しい技術や、ハッキングを解析する手法など、自分で発見した技術や開発したものなどをカンファレンスなどで成果発表をすることなども経験することができます。

セキュリティエンジニアに必要となるスキルを身につけるために

セキュリティエンジニアとして活躍するためには、ネットワークに興味を持ち、新しいことを学ぼうとする姿勢が必要です。といっても難しいことではなく、まずはみなさんの身の回りに溢れている、スマートフォンやスマート家電などネットワークを利用した物にどんどん触れて、ネットワーク技術に興味を持って楽しんでみましょう。そして実行したいことを素早く実現する手段として必須となるプログラミングの実力を身につけることも必要です。もし実際に自分自身でネットワークに触れて学びたいと思ったら、AWSなどの無料のクラウドサービスプラットフォームを利用すれば、サーバーや仮想ネットワークを構築するなど色々なことが実践で学べますので、ぜひ試してみてください。また、資格で大切なのは、情報処理技術者試験です。基本情報からソフト開発まで確実に取得していきましょう。ベンダー系の資格では、オラクルやAWSなど、いま必要とされている資格を中心にチャレンジしましょう。

学校で学ぶことは重要な基礎をつくるための大切な経験です。特に専門学校の優位性は、大学と違って実習経験が多いため、即戦力として活躍できるスキルが身につくこと。理論で頭でっかちになることなく、自分の手を動かして経験によって覚えていくことができるのが強みです。

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幅広い情報を取り入れ、自分で考え意見を言えるエンジニアになろう

これからIT業界をめざすみなさんは、ぜひ最新のトレンドをキャッチするモチベーションを持ち続けてください。セキュリティについての情報はもちろんですが、それ以外のIT関係の情報なども積極的に取り入れていって欲しいと思います。最新のUX(ユーザー体験)もどんどん体感し、楽しむことが大事です。新しいスマホやゲーム機などを買ったときのワクワクする気持ちを追い続けください。そして幅広い視野を持つことを心がけましょう。セキュリティエンジニアに求められる要件というのは常に変化していますので、ITだけではなく、政治や経済、科学技術や自然災害など、あらゆることに目を向けることが必要です。また、そのようなさまざまな課題について、自分の考えを持ち、意見をしっかりと言えることも大切です。

セキュリティエンジニアになるのだから、セキュリティを学ぶのは当然。セキュリティを軸としてより幅広く学ぶことで、これからのIT業界で必要とされる人材になりましょう。みなさんに期待しています!

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セキュリティソリューションとシステムインテグレーションを提供する
リーディングカンパニー 株式会社 ラック

システムインテグレーション事業とサイバーセキュリティ事業の両軸で、ITシステムやビジネスの発展を支える業界のトップ企業。1986年の創業以来、独立系ITベンダーとして30年以上の歴史と実績を持ち、またセキュリティ対策のリーディングカンパニーとして、セキュリティ体制の構築・運用支援、24時間365日のセキュリティ監視、緊急対応まで、トータルソリューションを提供している。

株式会社 ラック

ラックの企業内サイバーセキュリティ研究機関
サイバー・グリッド・ジャパン

サイバー・グリッド・ジャパンは、サイバー攻撃とそれによる被害発生を防ぐため、セキュリティ専門家を参集した株式会社ラックの企業内研究部門。新たなICTを利活用する上でのセキュリティ確保やサイバー攻撃に関連する技術の研究、ナショナルセキュリティ事情に関する調査研究、スレットインテリジェンス(脅威情報)やIoTに関する技術開発、そして利用者啓発と人材育成に取り組み、単独の取り組みにとどまらず、他組織・機関と連携した活動を行なっている。

◎ネットワークセキュリティ科
https://www.neec.ac.jp/department/it/network/

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