日本工学院の鍼灸科には、本学や他の学校を卒業して一定期間社会人として働いた後で、入学する学生がいます。その多くは、資格を取得してステップアップをめざす柔道整復師や介護職員の方々です。今はクラスに10%前後ですが、2019年に鍼灸科が厚生労働省の教育訓練給付金の指定講座になり、授業料の負担が大きく減るため、今後は少しずつ増えていくと思われます。指定講座になるためには、国家試験の合格率や生徒の中退率など、さまざまな条件をクリアしなければなりません。指定を受けたことは、日本工学院 鍼灸科が行っている教育の品質が認められた証しでもあります。
工藤幸祈さんは、2012年に日本工学院の柔道整復科を卒業後、接骨院で2年間勤務し、2014年に鍼灸科に再入学しました。柔道整復師として働きながら、鍼灸資格を取得しようと思ったのはなぜか。そして、鍼灸を学んだことが、工藤さん自身にもたらした変化とは何かについてお話しを伺いました。
工藤幸祈さん |
高校時代に腰を痛めて、接骨院に通っていました。担当の先生が男性だったので、思春期の女の子として恥ずかしかったり、言いにくかったりすることもあります。女性が先生なら、ストレスを感じずに施術してもらえると考えたことが、私が柔道整復師をめざした理由です。日本工学院の柔道整復科を卒業して努めた整骨院では、主に腰痛や肩こりで悩む高齢者の方々に施術していました。ある時、更年期障害を持つ方が来院されたのですが、自分に鍼灸の資格があれば、婦人科系疾患や自律神経系のトラブルなど、幅広い症状に対応できると考えたことが、鍼灸科に再入学するきっかけになりました。私が再入学した当時は教育訓練給付制度の対象講座ではなかったので、再入学優遇制度を利用しました。選考料や入学金が免除になるのは知っていましたが、授業料が減免されるのを知ったのは入学してからです。資格を取りたい気持ちが先で、費用のことはあまり意識していませんでした。
一度社会に出てから再入学すると、高校から入学した時とは授業に対する意欲や集中力が違います。現場のさまざまな経験から、学校で学ぶ知識や技術の大切さを理解しているからです。授業を受けながら、これは絶対に必要な知識だとか、治療に使わないけど相談されたら答えられたほうがいい等、自分で判断することができます。柔道整復科と鍼灸科で3年ずつ6年かけて人間の体をそれぞれの視点からより深く理解することができました。
工学院で6年間学んで感じたのは、教育に対して熱い先生が多いことです。一人ひとりきめ細かな指導が徹底していて、わからないことがあると、きちんと理解するまで教えてくださいます。卒業してからも先生に相談したり、先輩や後輩と情報交換をしたりできるのは、全日制で長い時間を学校で過ごすからだと思います。これから再入学する社会人は、教育訓練給付金を受けられるので、費用面で大きなメリットがあります。新たな資格や技術を身に付けて、将来の可能性を広げてください。
私は鍼灸科を卒業した後、学校に2年間残って教育補助員として授業をサポートしながら日本工学院の付属鍼灸院に勤務し、2019年4月に美容鍼灸サロンに就職しました。少し前から美容鍼灸がブームになっていることから、若いお客さまも大勢いらっしゃいます。施術の反応がすぐに表れるので、お客さまに感謝されると大きなやりがいを感じます。柔道整復師を志すきっかけになった女性のための施術は、鍼灸を学んで実現しました。美容鍼灸には、大きな可能性があります。アロマ検定1級の資格も取得したので、いつかアロマも取り入れた美容鍼灸サロンを開業するのが夢です。
日本工学院鍼灸科の3年間は、勉強して資格を取得するだけでなく、仲間を作って人間力を高めていく期間です。工藤さんのコメントにもありましたが、毎週のように卒業生が来てくれます。以前、10年近く前の卒業生が転職の相談に来ました。卒業してもずっとこの学科で学んだことを誇りに思い、愛着を持ってくれているのを感じてうれしくなります。そうしたネットワークを築けることも、再入学で得られる大きな価値です。もちろん、鍼灸の国家資格は大きな武器となり、自信を与えてくれるでしょう。工藤さんのように柔整師からのステップアップを目的に再入学した結果、新たな自分の夢を見つける人もたくさんいます。
鍼灸の国家資格を取りたいと思ったら、異業種からの転職でもハンディキャップはありません。熱意を持って取り組めば、それに応えてサポートする環境があります。社会人で鍼灸資格にチャレンジしようという方は、教育訓練給付金指定講座となった日本工学院鍼灸科への再入学をお勧めします。
◎鍼灸科
https://www.neec.ac.jp/department/medical/acupuncture/
日本工学院八王子専門学校
医療・保育カレッジ
鍼灸科 科長
山下 俊樹
※所属およびインタビュー内容は取材当時のものです。