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高校生けんちくコンテスト

第12回 高校生けんちくコンテスト入賞作品発表。

高校生けんちくコンテスト高校生けんちくコンテスト

第12回 高校生けんちくコンテスト結果発表
応募テーマ「わかちあう家」

(応募総数116作品)

【審査委員長】
渡辺真理(建築家/設計組織ADH代表/ 日本工学院 建築系学科 エグゼクティブアドバイザー)
【審査員】
岡本賢(建築家/元久米設計社長)
渡辺朋代(オートデスク株式会社 エデュケーションマネージャー)

受賞作品 ※受賞者の高等学校は受賞当時のものです

『お⼀⼈さまの暮らし⽅。
〜令和の時代は他⼈が家族〜
⼩林 和華
富⼭県⽴富⼭⼯業⾼等学校

審査員コメント
2枚の図面に模型写真と手描きのスケッチ、平面図、断面図が密度高く配置されています。2階にあるお一人さまの住まいは壁だけでなく、床もガラス張りで、1人の生活とみんなの生活がオーバーラップする不思議な暮らしが「チョー楽しく」表現されています。高1女子の作品ということですが、完成度の高さに審査員一同驚きました。あと2回チャンスがありますから、来年もぜひ再度チャレンジして下さい。(渡辺 真理氏)

『和衷協同
 しょく」繋がる⼈々の念い〜
三⽥ 桧美喜、根岸 瑞季、野原 瑠莞、深作 悠翔
埼⽟県⽴熊⾕⼯業⾼等学校

和衷協同

審査員コメント
今回のテーマ「わかちあう家」は高校生が考えるテーマからは多様な発想が求められると思う。提案された和衷協同は、現存する地域をテーマに様々な伝統的な職人が集う家を提案し、各々が専門性を持っている人々同志のコミュニティを食で繋げて、他の専門性を尊重し、その特性を理解してわかちあおうという発想がユニークな提案として感じられ、それを表現する丹念に描かれたプレゼンテーションと共に審査員の感性を捉えた。(岡本 賢氏)

『-enthusiasmus-
 真の熱狂」皆と共に!!
⽯⽥ 耀平
兵庫県・神⼾市⽴科学技術⾼等学校

審査員コメント
今年のテーマを広い視点でとらえ、ライブで味わえる熱狂という興奮や感動を分かち合う魅力を、様々な要素に分解した空間で楽しめるように提案しています。このような企画型の空間での家を成立させるために、新しい発想であるサブスク型の提案がある一方で、交流を図れる空間も用意されています。かつ訪問者にも開けた利用空間や居場所を提供していて、デザインも古代ローマを彷彿させており目を引きます。いろいろな要素がバランスよく提起された興味深い作品です。(渡辺 朋代氏)

『つながりのコンテナ』
安本 綾虹
⾹川県⽴坂出⼯業⾼等学校

つながりのコンテナ

審査員コメント
フレーム状にしたコンテナを複数連結することで用途に応じた可変的な住まいを構成できるという提案は、現実性もありますし、拡張性もあります。模型の表現が巧みなので、光と風の感じられる暮らしが感じられます。ただ、2mx2mx3mというモジュールはミニマム寸法なので、もう少しゆとりのある寸法にすると生活空間としてもわかちあうゆとりが生まれるのではないでしょうか?(渡辺 真理氏)

『エヴリクはうす』
⻑野 美玖、⻑⾕川 結⽣
神奈川県・私⽴洗⾜学園⾼等学校

審査員コメント
難民という今や世界で避けては通れない国際問題を提起した、視野の広い作品です。コンセプトのメッセージ性だけではなく、現地の気候や地形も考慮した家の設計がされており、実際の模製も制作したことで、わかりやすく伝えようとするプレゼンテーションも素晴らしいです。また、「わかちあう家」のテーマに対して、異なる文化のシリアとトルコ人が一緒に共同体として住むことで問題解決につながるという提起もされており、シェアハウスの語源も卜ルコ語とアラビア語の意味までも持たせていて、この作品のテーマに対しての探求心と発想力に驚かされます。(渡辺 朋代氏)

『空間と空間と』
富永 康⽣
⼤阪府⽴都島⼯業⾼等学校

審査員コメント
テーマの「わかちあう家」を建築空間としてどう解決するかを問い、家としての機能空間を分解し、 各々の結びつきをゆるめることによって、生じる空間がわかちあう空問として捉える発想が審査員に説得力を感じさせた。あいまい性を表現するドローイングが的確に表現されていて、作者の感性を感じる。ダイアグラムと書いてある部分のプレゼンがもう少し高度に描写されていればもっと良かったと思う。(岡本 賢氏)

autodeskロゴ

『タイパを制するものが⼈⽣を豊かにする』
⼟井 波⾳
兵庫県・神⼾市⽴科学技術⾼等学校

タイパを制するものが⼈⽣を豊かにする

審査員コメント
タイパを追求しながらも隙間時間での住民同士が読書を軸としてふれあい、わかちあえる生活を提案した興味深い作品です。タイパを重視するだけあり、シェアハウスの立地、住居内の導線、住民4人のプロフィールもしっかりと想定されていてリアリティを探求したことが伺えますね。手書きのイラスト、グラフィックス、CADとをバランスよく配置してあり、魅力的な作品に仕上がっています。(渡辺 朋代氏)

審査員特別賞(渡辺真理賞)

『発想の集い』
豊嶋 悠⽮
東京都⽴⼯芸⾼等学校

審査員コメント
「わかちあう」という概念を平面で見事に表現している作品です。3つの家が正方形の共有壁で切り取られることで、それぞれの家に共有空閻とブライベート空閻が生まれます。共有空間が家具デザイナーと画家とファッションデザイナーのアトリエになっていることで、「住人の間でインスピレーションを共有できる」という若想が秀逸です。説明はありませんでしたが、中央の中庭空間も外部に開放された魅力的なコモンスペースになっています。完成度の高い作品です。(渡辺 真理氏)

審査員特別賞(岡本賢賞)

『The Wave』
⾼⽥ 侑毅
福岡県⽴福岡⼯業⾼等学校

審査員コメント
自然・AIによって成立する建築というコンセプトを理解するよりも、この形態のイメージ、発想にとても心を惹かれた。何とも不思議で魅力的な絵姿である。実際に構成される建築の機能や構造はともかく、うねる緑に覆われた建築のイメージに魅了された。もう少しプレゼンに力をそそげば賞に届いたかもしれない。(岡本 賢氏)

学校賞

埼⽟県⽴熊⾕⼯業⾼等学校
北海道札幌⼯業⾼等学校

静岡県⽴駿河総合⾼等学校

渡辺真理 審査委員長 総評

今年度の「高校生けんちくコンテスト」には、116点の応募がありました。2つの教室に並べられた作品を何度も往復して確認した後で、3名の審奎員が10票すつ投票したところ、3人が選んだ作品が4作品ありました。その中から「お一人さまの暮らし方」が金賞に選ばれました。残りの3作品と2名以上が選んだ6作品の計9作品の中から、銀賞2点と銅賞3点を決定しました。CG、フリーハンドのドローイング、模型写真(模型提出1点も含む)など表現手段はさまざまですが、今年はフリーハンド作品に力作が見られました。その一方で、CG作品の多くが現実的な住まい提案に傾きがちだったのが少し残念でした。住まい提案ですから「リアル」であることがマズイわけではありませんが、どこかに「ドリーム」が散りばめられていると良かった。「わかちあう家」というテーマをどう捉えるかが評価のポイントになりましたが、 図面=ドローイングの訴求力も大切であることが痛感されました。「家といっても一家族の住まいとは限らない」ことを提出作品を見ながら審査員ー同、確認し合うことになりました。

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