コンピュータ関連のお仕事①
さまざまなITサービスに彩られた私たちの社会。それらを生み出しているのは、ITのエンジニアたちによって作られた情報システムです。そして、そのシステムを設計し、エンジニアたちをまとめて開発を推進するのがシステムエンジニア。システムエンジニアは、ITを使って企業の課題を解決しながら、その先にある社会のしくみにも影響を与える、とてもやりがいの大きなお仕事です。
めざせる学科
システムエンジニア(SE)とは、顧客(ユーザー)のニーズに合った情報システムを設計・開発する仕事です。家づくりに例えると、SEは「設計士」に当たります。ユーザーにヒアリングして要望を聞き出し、ユーザーの要望に最適なシステムを設計します。また、開発チーム全体の作業スケジュールを管理したり、現場の技術者を取りまとめる「現場監督」のような役割も担います。SEとの対比でよく同じ開発職のプログラマが取り上げられますが、こちらはSEが作成した設計図をもとに実際に家を建てる「大工さん」に相当します。SEはプログラマをはじめとするさまざまなエンジニアと連携しながら、システム開発を進めていきます。
システムエンジニアが設計・開発を手がける「情報システム」とは、情報処理を行うためのコンピュータ・システムのことです。「システム」と略されることが多く、銀行のATM、カーナビ、ECサイト(インターネットのショッピングサイト)、病院の電子カルテ、コンビニのPOSシステムなど、社会のあらゆる分野で活用されています。
情報システムは、ハードウェアとソフトウェア(コンピュータに命令を出して動かすプログラム)で構成されています。ソフトウェアは、OS、ミドルウェア、アプリケーションに分かれ、SEがシステムを設計・開発する際には、この4つの階層すべてに関する知識が必要になります。
これまでのシステム開発は、サーバ(データを一元管理するコンピュータ)などのハードウェアやソフトウェアを自社で保有・管理してきました。この運用方法を「オンプレミス」といいます。ところが、オンプレミスには、すべて自前で調達するためコストが高い、開発に時間がかかる、運用する人が必要になる、などのデメリットがありました。そこで近年は、クラウドコンピューティングの普及に伴い、クラウド上でシステムを開発するケースが増えています。
クラウドコンピューティング(クラウドサービス)とは、インターネット経由でハードウェアやソフトウェアなどを利用できるサービスです。Amazon、Google、Microsoftなどがクラウドサービスを提供しており、提供範囲の違いによって、SaaS(サース)、PaaS(パース)、IaaS(イアース/アイアース)の3タイプに分かれます。例えばSaaSなら、ハードウェアからアプリケーションまですべてをクラウド事業者が提供するので、SEはどこからでもクラウドにアクセスし、自由にアプリケーションを利用することができます。
システムの開発は、要件定義から、設計、構築、運⽤・保守まで、いくつかの段階に分かれており、システムエンジニア(SE)が主に担当するのは、初期段階の上流⼯程(要件定義〜設計)と呼ばれる部分です。ユーザーの要望に⽿を傾け、システムに導⼊する機能を考え、設計書にまとめてシステム全体の構造を決めていきます。
下流⼯程(構築〜リリース)においても、SEはさまざまな仕事を担います。構築(プログラミング)はプログラマが担当し、SEはプログラマの管理を⾏うケースがほとんどですが、プロジェクトによってはSEがプログラミングを⾏います。また、テストについても、そのほとんどをプログラマや他のエンジニアが⾏い、SEは結果をチェックする役割ですが、最終的なシステムテストなどはSEが⾏うこともあります。
また、プロジェクト全体を⾒渡しながら開発を推し進めていくこともSEの重要な仕事です。プロジェクト全体の進⾏・予算・⼈員などを管理し、開発状況をユーザーに報告します。⼤規模なプロジェクトになると、外部企業のエンジニアと⼀緒に開発に当たるケースが多く、その場合のマネジメントもSEが担います。
このようにSEの仕事は幅広く、何を担当するかは、勤務する会社によって、携わるプロジェクトによっても異なります。SEにはさまざまなスキルが求められるので、幅広い知識とスキルを⾝につけておくことが⼤切です。
単体テスト・・・モジュール単位で機能の動作をチェックします。
結合テスト・・・複数のモジュールを組み合わせて問題がないかをチェックします。
システムテスト・・・すべてのプログラムとハードウェアを合わせてシステム全体をチェックします。
運用テスト・・・ユーザーが行う、本番稼動直前の最終テストです。
システムの開発⼿法は、⼤きくウォーターフォール型とアジャイル型に分かれます。それぞれ開発の進め⽅や開発⼯程が⼤きく異なり、システムの規模や開発期間の⻑さなどを考慮に⼊れながら、プロジェクトごとに開発⼿法を決定します。従来はウォーターフォール型が主流でしたが、最近ではアジャイル型が増えています。
①ウォーターフォール型
ウォーターフォール型とは、前記の図のように「⼯程を1つずつ順番に終わらせていくやり⽅」です。ウォーターフォール(滝)という名前が⽰すように、⽔が上から下に流れるがごとく、後戻りせずに開発を進めていく⼿法です。基幹系システムなどの⼤規模なシステム開発で使われることが多く、最初に要件定義を⾏ってからシステムの全体像を設計するため、予算が⽴てやすい、進⾏状況を把握しやすい、などの特徴があります。②アジャイル型
アジャイル(Agile)とは「素早い」という意味です。アジャイル開発はリリースまでの期間が短く、開発途中の仕様変更などにも柔軟に対応できる⽐較的新しい開発⼿法です。機能ごとに「要件定義→設計→実装→テスト→リリース」といった⼩さなサイクルを回し、どんどん機能を膨らませていきます。楽天市場のようなショッピングサイト(Webアプリ)やスマホアプリなどの開発に向いている⼿法です。システムエンジニアが活躍する会社は、システム開発を請け負う「SIer系企業」と、⾃社内でシステムを運⽤している「ユーザー企業」に⼤きく分かれます。
SIer(エスアイヤー)とは、Systems Integrator(システムインテグレーター)の頭⽂字をとった略称で、システム開発の全⼯程を請け負う受託開発企業をいい、大まかに下記の3つに分類されます。
◯メーカー系SIer…IT機器などのハードウェアの生産も行っているメーカーやそのシステム系子会社。
◯ユーザ系SIer…さまざまな業界(運輸、金融、商社など)のシステム系列企業。大手企業のシステム開発部門としての役割を担うケースが多い。
◯独立系SIer…親会社などを持たず、独立して経営している企業。ハードウェアの選定などに縛りなくシステム開発を行える。
⼀⽅、ユーザー企業で働くシステムエンジニアの主な役割は、システム開発をSIer系企業などに発注する際、社内の要件をまとめてSler系企業とすり合わせることです。また、導⼊しているシステムの運⽤管理も⼤切な仕事です。中⼩企業などでは、⼀⼈のシステムエンジニアが、社内のIT教育、⾃社ホームページの作成、社内で使うソフトウェアのプログラミングなど、さまざまな業務を担うこともあります。
システムエンジニア(SE)になるためには、SEとしての基本的な知識とスキルを⾝につけることが⼤切です。実務経験や資格は無くてもなれますが、あらかじめ必要なスキルや、スキルを⾝につける上で役⽴つ資格について知っておくと、今後の学習の指針になるでしょう。
システム開発の現場はチームで動くことが多いため、コミュニケーションスキルは⽋かせません。特にユーザーの要望を汲み取り、要望に沿ったシステムを提案・構築するためにもコミュニケーションスキルは重要です。また、SEはユーザーのみならず、外部企業のプログラマなど、さまざまな⼈と接する機会の多い仕事です。円滑な開発を⾏うためにも、コミュニケーションスキルをしっかりと⾝につけておくことが⼤切です。
SEは、開発チームのまとめ役です。プロジェクト全体を⾒渡しながら、予算や⼈員、スケジュールなどを管理します。プログラマの作業を管理したり、開発トラブルが⽣じた際にエンジニアに的確な指⽰を出すこともSEの役割です。納期までにユーザーの要望に合ったシステムを完成させられるかどうかは、SEのマネジメント⼒にかかっていると⾔ってもいいでしょう。計画通りにシステム開発を進めていくうえで、マネジメントスキルは⽋かせません。
SEにとって、プログラミングの知識は不可⽋です。プログラミングを主に担当するのはプログラマですが、プログラミングの知識がなければプログラミング設計などの細かな設計はできません。また、プログラマに指⽰を出す際も、プログラミングの知識があれば、より具体的な指⽰を出して開発をスムーズに進めることができます。⼩さなプロジェクトではSEがプログラミングを担当することもあるため、プログラミングスキルを備えておけば、SEとしての仕事の幅も広がります。
⼊⾨レベルのIT基礎知識を証明できる国家資格です。経済産業省が認定する「情報処理技術者試験」の⼀つであり、⼊⾨者向けの資格として位置づけられています。ビジネス社会に必須のIT基礎知識が問われるため、社内SEとして採⽤する際に、この資格の取得を条件にしている企業もあります。
「情報処理技術者試験」の中で、もっともスタンダードな資格です。ITエンジニアとしての基本知識を認定する資格であり、SEが担う仕事の範囲をほぼカバーしています。企業の注⽬度も⾼く、取得すれば就職活動などで⼤きなアピール材料になるでしょう。⽇本⼯学院ITカレッジでもこの資格を重視しており、資格取得を徹底サポートしています。
「情報処理技術者試験」の中で、基本情報技術者試験の上位に位置づけられる資格です。⾼度なIT⼈材を認定するための資格であり、ネットワークやデータベース、プロジェクトマネジメントなど分野ごとに試験が分かれているので、取得すれば幅広いスキルが⾝につきます。
「情報処理技術者試験」の中で、もっとも上位に位置する資格です。サイバーセキュリティに関する実践的な知識やスキルを認定する資格であり、システム管理や情報セキュリティマネジメントなど、広範かつ高度な知識・スキルが問われます。日本工学院ITカレッジでは、この資格を「目標資格」に設定しています。
いずれもLinux OSに関する技術⼒を認定する資格です。LPICが世界180カ国以上で実施されているグローバルな資格であるのに対し、LinuCは2018年にスタートした⽇本国内向けの新しい資格です。LPICをベースに、⽇本市場のニーズに合わせて策定されました。⽇本⼯学院ITカレッジでは、いずれも「⽬標資格」に設定しています。
システムエンジニアをめざすなら、⽇本⼯学院ITカレッジで学んでみませんか。⽇本⼯学院ITカレッジでは、システムエンジニアになるために最適な学習環境を整え、希望者⼀⼈ひとりをプロのシステムエンジニアに育てています。
特長1
⽇本⼯学院ITカレッジのカリキュラムは、学習内容を段階的に明⽰し、学⽣⼀⼈ひとりの習熟度に合わせて無理なくスキルアップできるように作られています。だから、ITの初学者でも⼤丈夫。ITスペシャリスト科(4年制)と情報処理科では、コンピュータのしくみやクラウドコンピューティング、プログラミングスキルやマネジメントスキルなど、システム開発に必要な知識とスキルを幅広く学んでいきます。IoTデバイスを活⽤したものづくり実習など、バラエティ豊かな科⽬がそろっているので、楽しみながらスキルが⾝につきます。
特長2
⽇本⼯学院ITカレッジでは、実践⼒を養うために、PBL型の授業をカリキュラムに採り⼊れています。PBL(Project Based Learning)とは、学⽣が主体となってプロジェクトに関わることで能動的学習や実践⼒を養う学習形態のこと。特にITスペシャリスト科(4年制)では、学⽣たちが⾃由にチームを組み、どんなシステムを開発すればニーズがあるかなど、ビジネスモデルを考えることからスタートし、⾃分たちが作った計画に基づいて実際にシステムを開発します。その過程で、学⽣たちは⾃分の好きなものを⾃由に作るのではなく、プロの⽬線でものを作るという貴重な経験が得られます。これら⼀連の作業を通して、コミュニケーションスキルはもちろん、要件定義・設計・開発に必要なスキルをしっかり習得することができます。
特長3
IT業界は技術の進化が早いので、常に知識やスキルをアップデートすることが⼤切です。そのため⽇本⼯学院ITカレッジでは、第⼀線で活躍するIT企業のエンジニアを招き、最新技術に関するさまざまな特別講義を⾏っています。また、ITスペシャリスト科(4年制)では、学⽣たちがSIer系企業からの課題に取り組み、企業から直接評価を受けることでIT業界の技術に触れる産学連携の授業も積極的に⾏っています。
企業との連携を推進する⼀⽅、ふだんの授業にも最新技術を採り⼊れています。システムの開発環境がクラウドに移⾏しつつある現状に合わせ、クラウドコンピューティング学習カリキュラム『AWSAcademy』を教育に導⼊。これにより、学⽣たちはSaaS(サース)などのクラウドサービスを⾃由に使ってシステム開発を楽しむことができます。
また、プロの現場に引けを取らないほど学習機材が充実しており、ネットワーク業界標準のシスコシステムズ社製ルータなどは、教育機関ではなかなかお⽬にかかれません。ほかにも、Windowsに加えてMacのコンピュータを多数導⼊しており、Android OSとiOS双⽅の開発環境を整えています。
特長4
システムエンジニアに関連する資格を取ろうと思っても、何からどう始めればよいか、最初はよくわからないでしょう。めざす資格を確実にゲットするには、取得計画を⽴て、効率よく勉強することが⼤切です。⽇本⼯学院ITカレッジでは、学科ごとに資格ロードマップを作り、学⽣が計画的に資格を取得できるようにバックアップしています。資格サポートも、授業を中⼼に、デジタルメディアやインターネットを活⽤したeラーニング、資格試験直前の模擬試験などさまざまな⽅法で⾏われています。
特長5
クラス担任制を採⽤している⽇本⼯学院では、学⽣の⼊学から卒業までを1⼈の専任教員が担当を務め、学習・就職・学⽣⽣活などあらゆる⾯で親⾝なサポートを⾏っています。担任教員は学⽣とじっくり向き合って信頼関係を築くことで、学習⾯のスキルアップだけでなく、悩みや将来の進路についての相談など、精神⾯でも⽀えとなっていきます。その点、ITカレッジのクラス担任に業界経験者が多いという事実は、学⽣たちに⼤きな安⼼感を与えています。先⽣たちは⾃分の経験から学⽣のうちに何を学んでおけばよいのかを熟知しており、的確なアドバイスのおかげで、学⽣たちは効率的な学習ができるのです。
特長6
⽇本⼯学院の学⽣は、⾃分が在籍する学科と就職⽀援の専⾨機関であるキャリアサポートセンターから、⼆重の就職サポートを受けることができます。キャリアサポートセンターは、⻑年にわったて蓄積してきた就職ノウハウを⽣かし、学⽣たちの就職活動をしっかりバックアップします。⼀⽅、ITカレッジでも『キャリアデザイン』などの就職系科⽬をカリキュラムに組み込み、学⽣⾃⾝がキャリアを描けるように後押ししています。また、IT業界とのネットワークを⽣かし、IT企業のエンジニアを招いて仕事について講演を⾏ったり、卒業⽣に就職活動の体験談やアドバイスを聞く機会を設けるなど、就職に対する意識を⾼めるさまざまなサポートを⾏っています。
ITスペシャリスト科(4年制)
⾦井 亜季⼦ 先生
担当科目:Web開発基礎、
Webアプリケーション開発、
クラウドコンピューティング
【プロフィール】
⼤学(政治経済学部)に在学中、テレフォンアポインターのアルバイトをきっかけに、システムエンジニアの仕事に興味を持つ。⼤学卒業後、SEとして、SIer系企業で⾦融系決済システムの開発に従事。その後、教育機関に転職し、社内SEとしてホームページや学⽣システムの開発を担当。⽇本⼯学院では、ITスペシャリスト科(4年制)と情報処理科で担任を務める。
教育で⼼がけていること
私はもともと教員になりたくて、⼤学時代に教員免許を取得しました。その後、⾃分の思い通りにコンピュータを動かせることに魅⼒を感じて、システムエンジニアになりました。いまはキャリアチェンジしてかつての⽬標だった教員になったわけですが、学⽣たちの経験値を増やしてあげたいと常に思っています。机上の勉強も必要ですが、SEになるためにはいろんな経験を積んでおくことが⼤事だと思うのです。⽇本⼯学院には、スキー実習や海外研修など、いろんな経験ができる機会がたくさんありますが、IT企業の⽅々と連携して特別講義を⾏うなど、もっともっと学⽣たちの経験値を増やしてあげたいと思っています。
システムエンジニアをめざす⼈がいまできること
現代は⾝のまわりにいろんなITサービスがあふれていて、私たちは当然のようにその便利なアイテムを享受しています。でも、その⼀つひとつのサービスの裏側にはエンジニアたちの努⼒があるのです。ゲームでも何でもよいので、なぜこれはこう動くのかを、疑問を持って⾃分で調べてみてほしいと思います。「なぜ」を考えて調べる経験を増やしておくと、システムエンジニアの仕事がもっと楽しく感じるかもしれません。
システムエンジニアをめざすみなさんへ
SEは⾃分の思い通りにコンピュータをコントロールできる、とても楽しい仕事です。⾃分の持っているITの知識やスキルを使って企業課題を解決する「ITソリューション」に携われることは、SEの⼤きな魅⼒です。
また、SEは社会に貢献できる仕事でもあります。私⾃⾝の体験ですが、企業の基幹システムなどを開発する場合、SEはそのお客様(企業)に向き合いながら、常にお客様の先にいる利⽤者を想像して開発しているんですね。⾃分が作ったシステムが世の中に出て、社会の役に⽴っている様⼦をみると、とてもやりがいを感じます。
体験⼊学+オープンキャンパスに来られた⼈から、「数学が苦⼿だけど⼤丈夫でしょうか」という質問をよくいただきますが、論理的な思考ができれば、数学は中学校レベルの知識で問題ありません。ぜひSEの仕事をめざしてほしいと思います。