コンピュータ関連のお仕事⑤
私たちが日常的に使っているYouTubeやLINE、InstagramやAmazonなどに共通すること。それは、そのすべての開発にWebエンジニアが深く関わっているということです。Webエンジニアは、Webを利用したさまざまなアプリケーションやシステムを作り出すことで、私たちの暮らしに便利さや楽しさを与えています。Webが好き、新しいWebサービスを手がけてみたいという人にとって、Webエンジニアは魅力に満ちたお仕事です。
めざせる学科
Webエンジニアとは、Webブラウザを介して利用できるSNSなどのサービスや、楽天市場などのECサイト、Googleなどのポータルサイトに使われているWebアプリケーションなどを開発する仕事です。例えば、ECサイトで表示される「商品ページの閲覧履歴」や「おすすめ商品」は、Webエンジニアが作ったプログラムによって表示されています。Webエンジニアが開発を手がけるWebシステムやWebアプリケーションには、以下のようなものがあります。
Amazon、楽天市場、ユニクロなど
Webシステム
人事・在庫・売上管理など
Webシステム
Instagram、Facebook など
Webアプリケーション
YouTube、Netflix など
Webアプリケーション
Yahoo!Japan、Googleなど
Webアプリケーション
LINE、Zoomなど
Webアプリケーション
一般的なWebシステムは、クライアントとサーバに分かれています。ユーザーはクライアント側にある画面を操作し、Webサーバとやり取りすることで検索結果を得たり、商品を注文したりしています。このうち、クライアント側を「フロントエンド」、Webサーバ側を「バックエンド」と呼び、フロントエンドの開発を担う人を「フロントエンドエンジニア」、バックエンドの開発を担う人を「バックエンドエンジニア」といいます。
フロントエンドとは、システムを構成する要素のうち「ユーザーの目に見える部分」です。Webサイトに表示される文字やボタン、入力画面、広告などがフロントエンドに当たります。フロントエンドエンジニアは、HTMLやCSS、JavaScript などのプログラミング言語を使って、画面の見た目を作成します。効率よく開発するために、React、Angular、Vue.js、EmberなどのWebフレームワーク(アプリ開発に必要な機能をパッケージ化したもの)を使うケースが増えています。
バックエンドとは「ユーザーの目に見えない部分」です。バックエンドエンジニアは、ECサイトでの商品検索や決済処理、ユーザー認証など、サーバ側で動作するシステムを開発します。サーバ、OS、データベースなど、Webシステムの主要な部分を担っているため、Webエンジニアの中でも中心的な役割を果たすポジションです。バックエンドの開発に必要なプログラミング言語にはJava、Ruby、PHP、Pythonなどがあり、バックエンドの開発でも、Spring、Ruby on Rails、Laravel 、DjangoなどのWebフレームワークが用いられています。近年はWebサーバのクラウド化に伴い、バックエンドエンジニアにもクラウドの知識とスキルが求められています。
WebシステムやWebアプリケーションの開発は、要件定義から、設計、開発、運用・保守・監視まで、いくつかの段階に分かれており、Webエンジニアは基本的にそのすべての工程に携わります。それぞれの工程ごとにフロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアが作業を分担し、協力しながら開発を進めていきます。特にフロントエンドエンジニアは、Webデザイナーとの連携も不可欠であり、Webデザイナーからバックエンドエンジニアまでさまざまな職種が存在する開発チームの中で、橋渡し的な役割も担っています。
Webエンジニアの基本的な仕事は、ユーザーの要望をもとにシステムを構築・実現することです。一方、Webデザイナーの仕事は、WebサイトやスマホアプリなどのUIデザインが中心です。そのため、WebエンジニアとWebデザイナーでは、使用するプログラミング言語やソフトウェア、要求されるスキルが異なります。
ただし、両者ともフロントエンドを担当する職種であり、設計段階においては連携して作業を進めていきます。両者の役割は重なる部分が多いため、フロントエンドの作業をすべてWebデザイナーが担当し、Webエンジニアはバックエンドの開発だけを担う場合もあります。会社によって、あるいはプロジェクトによってWebエンジニアの仕事内容が変わってくるので、ケースバイケースで柔軟に対応することが大切です。
Webエンジニアの就職先は、クライアントのWebサービス開発を請け負うSESやSIer系の企業と、自社のWebサービス開発を手がける「自社開発企業」に大きく分かれます。
SESは、System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)の略称で、クライアントにエンジニアを派遣して技術提供するサービスのことをいいます。代表的なSES企業に富士ソフトがあります。また、SIer(エスアイヤー)とは、Systems Integrator(システムインテグレーター)の頭文字をとった略称で、システム開発の全工程を請け負う受託開発企業をいいます。富士通、日立、NECなどが代表的な企業です。SESやSIer系の企業の多くは発注元の企業にエンジニアを派遣し、エンジニアたちが常駐してシステムの開発や運用に当たるという特徴があります。
一方、ヤフー、楽天、LINE、サイバーエージェントなどの自社開発企業では、ユーザー向けのWebサービスを自分たちで立案し、設計、開発、運用・保守・監視まで一貫してすべてを自社内で行います。「自分のアイデアがサービスに反映されやすい」「顧客の反応が直接感じられるので楽しい」などの理由から、自社開発企業を志望する学生が増えています。
Webエンジニアになるためには、Webエンジニアとしての基本的な知識とスキルを身につけることが大切です。実務経験や資格は無くてもなれますが、Webエンジニアの仕事に関連する資格はいくつかあり、それらを取得すれば必要な知識やスキルが効率よく身につきます。あらかじめスキルや資格について知っておくと、今後の学習の指針になるでしょう。
Webエンジニアは、WebシステムやWebアプリの開発(プログラミング)を担うため、プログラミングスキルの習得は必須です。担当する領域によって必要なプログラミング言語は異なり、フロントエンドエンジニアならJavaScriptやHTML5、バックエンドエンジニアならPHP、Java、Ruby、Pythonなどのスキルが必要です。
ECサイトなどのWebシステムには不特定多数のユーザーがアクセスし、メールアドレスやクレジットカード情報など多くの個人情報が入力されます。個人情報の漏洩は企業の信用問題に直結するため、Webエンジニアには情報の取扱いやセキュリティ対策に関する知識とスキルが求められます。
Webシステムの開発現場はチームで動くことが多いため、コミュニケーションスキルは欠かせません。ユーザーの要望を汲み取り、最適なWebシステムを提案するためにもコミュニケーションスキルは重要です。プロジェクトリーダーからの指示を適切に理解したり、自分の考えをきちんと伝える上でコミュニケーションスキルは大切です。
LAMP環境とは、4つのオープンソースソフトウェアを使ったWebアプリ開発の環境のことです。Webアプリを開発するにはOS、サーバ、データベース、プログラミング言語が不可欠であり、 それぞれの代表的なオープンソースソフトウェアである「Linux」「Apache」「MySQL」「PHP(またはPerl、Python)」の頭文字をとって「LAMP」と呼ばれています。IT技術の進化は早く、最近ではこれら以外のソフトウェアも利用されており、LAMP環境を踏まえた上で新しい技術のトレンドに対応していくことが求められます。
経済産業省が認定する「情報処理技術者試験」の中の一つであり、もっともスタンダードな資格です。ITエンジニアとしての基本知識を認定する資格で、企業の注目度も高く、取得すれば就職活動などで大きなアピール材料になります。日本工学院ITカレッジでもこの資格を重視しています。
HTML5、CSS3、JavaScriptなどに関する知識と技術力を証明する資格です。取得すればWebエンジニアとしての技術力を客観的に証明できます。ただし、認定の有効期限が5年間なので、資格を維持するには定期的に再受験が必要となります。
いずれもLinux OSに関する技術力を認定する資格です。LPICが世界180カ国以上で実施されているグローバルな資格であるのに対し、LinuCは2018年にスタートした日本国内向けの新しい資格です。LPICをベースに、日本市場のニーズに合わせて策定されました。
AWS認定とは、Amazon社が提供しているクラウドコンピューティングサービス「Amazon Web Services」に関する知識を証明する資格制度です。AWS認定クラウドプラクティショナーは、そのAWS認定制度の1つであり、クラウドの概念やセキュリティなど、基礎レベルの知識を認定します。
Webエンジニアをめざすなら、日本工学院ITカレッジで学んでみませんか。日本工学院ITカレッジでは、Webエンジニアになるために最適な学習環境を整え、希望者一人ひとりをプロのWebエンジニアに育てています。
特長1
Webエンジニアをめざすためには、プログラミング言語を学ぶことが必要です。プログラミング言語には、さまざまな種類があり、フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアによって使う言語が違います。日本工学院ITカレッジでは、主にフロントエンドで使う言語としてHTML、CSS、Java Scriptなどを、バックエンドで使う言語としてJava、PHP、Pythonなどを教えています。また、学生たちはWebアプリのグループ実習などで思い思いにWebフレームワーク(アプリ開発に必要な機能をパッケージ化したもの)を活用しており、React、Vue.js、Django、Ruby on Railsなどの使い方についてもサポートしています。
特長2
日本工学院のカリキュラムは、学習内容を段階的に明示し、学生一人ひとりの習熟度に合わせて無理なくスキルアップできるように作られています。だから、ITの初学者でも大丈夫。ITスペシャリスト科(4年制)と情報処理科では、プログラミング言語はもちろん、OS、サーバ、データベースについて網羅的に学んでいきます。また、デザイン科(3年制)グラフィックデザイン専攻でもWebデザインについて基礎から学べるので、「フロントエンドのWeb制作に関心がある」「Webデザイナーの仕事にも興味がある」という人は、ぜひそちらも検討してみてください。
特長3
ITスペシャリスト科(4年制)の3年次に、4〜5人でチームを組んで簡単なWebシステムを開発する「グループ演習」を行っています。この実習では、要件定義から設計、実装(プログラミング)まで、半年かけてシステムを作っていきます。例えば、ホテルの予約サイトを作る実習では、先生がクライアント役となって「こういうホームページにして欲しい」と依頼し、それを受けて学生たちが要件定義書を作成。ホテルの予約に必要な要素を洗い出して設計書に盛り込み、予約サイトを作っていきます。チームで開発に取り組むことにより、技術力はもちろん、コミュニケーションスキルも身につきます。
特長4
IT業界では、就職採用の前段階として、多くの企業がインターンシップ(就業体験)を行っています。特に大手SIerや自社開発企業など、学生に人気の企業はインターンシップ参加希望者も多く、インターンシップの評価が直接就職に結びつくケースもあるため、参加できるかどうかが大きなポイントになっています。その点、日本工学院ITカレッジでは、学生一人ひとりの希望に寄り添い、インターンシップの企業選びからエントリーシートの作成、面接の練習まで、きめ細かなサポートを行っています。
特長5
日本工学院ITカレッジでは、インターンシップのサポートにとどまらず、卒業生を招いて行われる業界研究や企業研究など、さまざまな就職サポートを行っています。就職支援の専門機関であるキャリアサポートセンターにも、めざす業界・企業に就職するための膨大な就職ノウハウが蓄積されており、就職活動に臨む学生たちの大きな力になっています。その結果、多くの学生たちが希望通りの就職を実現しており、 ヤフー、サイバーエージェント、ZOZO、チームラボ、GMOインターネット、エン・ジャパンなど、学生に人気の企業にも多くの卒業生を送り出しています。
ITスペシャリスト科(4年制)科長(蒲田校)
AIシステム科 科長(蒲田校)
中西 真也 先生
【プロフィール】
システム開発会社で約7年間、システムエンシジニアとしてCADシステムや組込みシステムの開発を担当。その後、本校で17年間にわたり、プログラミングからシステム開発に至るまで数多くの実習科目を担当。これまで大勢の教え子をIT業界に送り出している。
Webエンジニアをめざす人がいまできること
「Webが好き」「Webエンジニアになりたい」という人は、できるだけ多くのWebサイトやWebアプリに触れておいてほしいと思います。そして、「こうすればもっと見やすいのに」「こうした方がわかりやすいのに」といった問題意識を持つ習慣を身につけておいてください。使い勝手やユーザーインターフェイスに対する視点は、フロントエンドエンジニアにもバックエンドエンジニアにも必要です。そして、「自分だったらこんなWebサイトを作りたい」という目標を持って入学すれば、入学後の学習がより充実すると思います。
Webエンジニアをめざすみなさんへ
ITエンジニアとして、自分が開発に関わったサービスやプログラムを利用している人を見たり、利用者の声を聞くことは大きな喜びです。私が携帯電話の開発に従事していた当時、電車で偶然隣になった人が私の開発したアプリを使っている姿を見て、改めて仕事のやりがいを実感しました。Webエンジニアが手がけるWebサイトは、世界中の人が目にします。「世界中に見てもらえるWebサイトを作りたい」「WebエンジニアになってWebサービスを開発する仕事がしたい」という人は、ぜひ日本工学院に入学してください。あなたの夢を私たちがしっかりと支えます。