インターネット広告やWebサイトなど、世の中にあふれている広告にはさまざまなCGが使われています。CGを取り入れた映画やテレビ番組も年々増えており、CGを手がける映像クリエイターのフィールドが広がっています。また、CG作品のクオリティを高めるために不可欠なVFXの重要性も年々高まっており、VFXの技術はジャンルを問わず、ゲーム、アニメ、映像など幅広い業界で活用されています。映像・VFX専攻では、映像クリエイターとしてCGを自由自在に操る能力と、ビジュアルエフェクトや実写合成などVFX系のスキルを幅広く養成。高度なスキルを身につけた学生たちは、多彩なCG関連業界に就職しています。
映像・VFXとは 映像・VFX専攻の「映像」とは、ゲームやアニメ分野以外で使われているCG映像全般を指しており、主に映画や広告などで使われるCG映像が本専攻の学びの対象です。また、「VFX」とは「Visual Effects」の略称で、視覚効果という意味です。撮影した映像にコンピュータで加工を施す技術を指します。現実には起こりえない非現実的な演出や効果を施せる点が大きな特徴であり、CGによる絶滅した恐竜の描写、緑の布の前で人を撮影した後でグリーンバックを抜いて合成する方法(クロマキー合成)、時代劇の野外撮影で撮った映像から電線を消去する加工などもVFXに当てはまります。 |
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映像・VFXのお仕事
CG制作の基本を学び、実写撮影や合成技術を身につければ、CGに強い映像クリエイターとして映像関連業界で活躍することができます。広告業界などで多用されているモーショングラフィックスの技術を習得すれば、テレビ・広告業界でさまざまなCGデザインの制作に関わることが可能です。また、VFX関連の職種には、コンピュータで映像を合成する「コンポジター」、映像に視覚効果を施して臨場感を高める「エフェクトアーティスト」などがあり、VFXの専門スキルを磨けば、ゲームやアニメなどのジャンルを超えた幅広いCG関連業界で活躍することができます。
映像・VFX専攻の教育
映像業界への就職を目標に、閃光、爆発などを加えるビジュアルエフェクトや、キャラクターと背景、実写映像を合成するコンポジットについて学びます。また、映像作品として完成させるための映像編集テクニックもマスター。映像・広告業界で多用されるモーショングラフィックスについてもしっかり習得します。学習方法は、先生がお手本を示しながら、実践をくり返してスキルを身につけるスタイル。わからない学生には個別に丁寧に指導していきます。
コンポジットとは、3DCG、2Dグラフィックス、実写映像などの各種素材を合成することをいいます。各種素材をつくる工程のパートから素材を受け取り、素材感の色調や解像度の違いなどを調整し、一つの映像として仕上げていきます。 | ![]() |
作品をよりダイナミックにしたり、リアリティを増す目的で映像に加えられる自然現象(煙・水・爆発・キラキラした光など)や、実在しない視覚表現(ドラゴンがはく炎や漫画的な集中線など)をつくります。 | ![]() |
映像とBGM、SE(効果音)、台詞などを合わせて作品を完成させます。映像業界への就職をめざす学生は、就職活動の際、デモリール(自分が作った映像作品集)を用意する必要があるので、すべての学生に役立ちます。 | ![]() |
希望の就職を果たせるよう、VFX関連業界が求める確かなスキルを養います。
CG制作会社や映像関連会社など、自分が希望する会社に就職できるレベルのスキルを身につけることを目標にしています。映像・VFX専攻では、実写合成やビジュアルエフェクトなどに使用する専門ツールを使いこなす能力に加え、CGのプロとして必要な意識づけも重視しています。例えば、実写合成の際、実写とCGの色が微妙に違うだけで途端にリアリティがなくなってしまいます。それを自分の工程で精査する意識と、微妙な差異に気づく目を持っておくことが就職にも有利になるため、しっかりと基礎固めを行います。
多彩なソフトを授業に導入し、専門スキルをブラッシュアップ!
ビジュアルエフェクトや実写合成には専門的なソフトが多く、映像・VFX専攻でも業界の定番ソフトを豊富に授業に取り入れています。コンポジットについては、「Maya」「After Effects」「Nuke」などを実習に導入。エフェクトについてはVFX制作に強い3DCGソフト「Houdini」などを、映像編集に関しては「DaVinci Resolve」「Premiere Pro」などを使い、それぞれの専門スキルをブラッシュアップしています。
● 使用するソフトウェア
NUKE
(デジタル合成ソフト)
Adobe After Effects
(動画編集ソフト)
など
Maya
(3DCG統合ソフト)
Houdini
(3DCGソフト)
など
DaVinci Resolve
(動画編集ソフト)
Adobe Premiere pro
(ノンリニア編集ソフト)
など
CG映像科はAdobe社の製品を使って教育を行っています。
CG映像科では、アドビ社のPhotoshop、Illustratorを実習に使い、CG映像制作の元となる画像の加工やイラストの制作などに使用しています。
学年が上がるにつれ、スキルも制作ソフトも専門化していきます。
入学当初はほぼ全員がCGデザインの未経験者なので、1年次にCGとデザインの基礎をじっくり学びます。VFX関連の選択科目がスタートするのは2年次以降。学年が上がるにつれて選択科目はより専門化・細分化し、学べるCG制作ソフトも多彩になっていきます。そしてポートフォリオやデモリール(就職活動のための作品集)を作り、3年次には卒業制作に取り組みます。VFXはゲームCGやアニメCGの完成度を高めるうえでも重要なので、他の専攻と映像・VFX専攻をまたがって学んでいる学生も大勢います。
● 3年間の学びの流れ
映像・VFX専攻
1年次 | プロジェクトワーク、3DCG基礎、2DCG基礎、 2Dデザイン、デッサン、美術基礎 |
2年次 | VFX演習、3DCG応用、実写撮影、モーショングラフィックス、ポートフォリオ |
就職作品制作、CG作品制作(コンテスト応募) | |
3年次 | 映像系CG応用・制作 |
卒業制作 | |
卒業
実写合成を前提に、実写撮影のノウハウを学ぶ。
CG制作に欠かせない撮影の概念を理解するため、まず実写撮影を行ってカメラとレンズの特性などを学び、撮影した画像をもとにコンポジットや編集を行います。コンポジットには人を切り抜く技術(マスク)や、緑の布の前で人を撮影した後でグリーンバックを抜いて合成する技術(クロマキー合成)など、重要なスキルがいくつかあるため、それらをふまえて実写撮影を行います。
見る人を魅了するモーショングラフィックスをつくる。
モーショングラフィックスとは、文字やイラスト、写真などに動きや音を加えて映像化したものをいいます。テレビ番組のオープニング映像、企業のマーケティング動画、店頭や街角に流れるデジタルサイネージの動画など、さまざまなシーンで使用されています。メッセージが伝わりやすいことから、アーティストのMVなどにも活用されており、CG映像科の学生にも人気の表現方法です。映像・VFX専攻では、3Dモーショングラフィックスの技法を理解したうえで、「After Effects」を使って実際にモーショングラフィックス制作に取り組みます。
Vチューバーも学びの対象
「にじさんじ」や「ホロライブ」など、VチューバーのMV制作セミナーを実施。
2Dや3Dのキャラクターアバターを使ってYouTube配信を行う「Vチューバー」の注目度が年々増しています。CG映像科でも、Vチューバーのイベントを手がけているCG制作会社や、Vチューバーの映像を制作しているCGプロダクションに卒業生が就職しており、学生の人気が高まっています。そこで、Vチューバーのプロジェクト「にじさんじ」のPVを制作している卒業生を講師に招き、「にじさんじ」や女性Vチューバーグループ「ホロライブ」などのMV制作セミナーを開催。Vチューバーを切り口に、CGの活用方法や可能性について考察します。
デザイナーに欠かせない画力と基礎造形力を、しっかり身につけます。
グラフィックを扱うデザイナーにとって、もっとも大切なのはベーシックなデザイン力です。そのため、1〜2年次にかけて「デッサン」の授業で画力をしっかりと養います。また、1年次には座学と「Maya」を使った実習で、造形力を集中的に強化。ツールを選ばずにデザインできる基礎力を養いながら、CG制作ソフトを使いこなすスキルを身につけることで、CG関連業界で活躍できる実践力が身につきます。
CG業界に実力をアピールできるよう、作品集の制作をサポート。
CG映像科では、学生たちをしっかりとCG業界に導くことを目標にしています。そのため、CG制作のスキルをしっかりアピールできるよう、さまざまなCG作品を盛り込んだポートフォリオやデモリール作りをサポートしています。授業課題に取り組む中で、一人ひとりの得意な所が自然と明らかになってくるので、長所がきちんと伝わるような作品集になるように指導しています。
1年次にCGクリエイター検定の取得をめざします。
1年次にCGデザインの基礎を学ぶ中で、知識をしっかり身につけられるよう、CGクリエイター検定の取得をサポートしています。CGクリエイター検定とは、CG制作や映像制作のスキルを証明する民間資格。ベーシックとエキスパートに分かれており、ベーシックでは主に2次元・3次元のCGやデザイン、CGによる静止画制作の知識が問われます。CGデザイナーに必須の資格ではありませんが、資格取得者は業務に必要な知識を保有していると評価されるため、CG映像科では対策授業を設けて取得を支援しています。
CG映像科
関野 友裕 先生
担当科目:プロジェクトワーク/
VFX演習/デジタル演習
【プロフィール】
2015年にCG映像科を卒業後、(株)白組に入社。CGデザイナーとして、映画、CM、ゲーム、アニメなど、さまざまなジャンルのCG作品を手がける。そのかたわら、CG業界の人材育成にも関心を寄せ、本校での特別講義や体験入学イベントなどで度々講師を務める。2021年10月より本校教員。
教育で心がけていること
私は学生の主体性がなによりも大事だと考えています。だから、例えばVFXやコンポジットの技術を駆使して作品をつくり上げる『プロジェクトワーク』の授業では、学生たちに作りたいものを自由に作ってもらい、どうすれば各々の理想に作品を近づけられるのかを個別にアドバイスしています。また、動画やCGの素材を合成して一つの画をつくる『VFX演習』でも、作った人の個性が作品に表れるので、一人ひとりの個性に合った指導を心がけています。学生たちは主体的に作品づくりに取り組むことで、内なるクリエイター精神が日々強固になっているようです。
コンポジターやエフェクトアーティストに求められること
コンポジターやエフェクトアーティストに共通するのは、画づくりを行うということです。監督やチーフデザイナーなどが思い描く理想のイメージ(オーダー)に対して、その意図を的確に汲み取って画をつくり上げ、修正指示に対しても迅速に対応できる能力が必要です。また、自分はどういう考えに基づいてその画をつくったのか、実写合成の場合にはなぜそのような合成を行ったのかをロジカルに説明する能力も問われます。そのため作品制作の授業では、必ず最後に講評会を行い、どこにこだわって制作したのかなどを一人ひとりが説明し、意見交換する機会を設けています。コンポジターやエフェクトアーティストをめざすなら、読解力(オーダーの意図を汲み取る能力)、技術力(オーダーに対応できる能力)、そして論理的思考(ロジカルに説明できる能力)の3つをぜひ養ってください。
コンポジターやエフェクトアーティストの魅力
エフェクトアーティストやコンポジターは、モデラーやアニメーターたちが労力をかけて作り上げたCGを使って最終的に画をつくる仕事なので、映像制作における最後のまとめ役のような存在です。責任を伴う重要な工程なので、やりがいも大きいですね。また、自分のつくった映像がテレビや映画館で放映されているのを目にすると、自分が企業や社会に貢献できていることをダイレクトに実感できます。極論を言うと、映像というものは世の中に無くてもいい存在ですが、映像を必要とする人も世の中にはたくさんいます。自分がつくった映像を通して社会や誰かの人生に関われることは、映像をつくる者として大きな喜びです。
コンポジターやエフェクトアーティストの志望者がいまできること
いまのうちから映像をたくさん観て、自分が素晴らしいと感じた映像に出合ったら、なぜ素晴らしいのかを分析するくせをつけておいてください。例えば、なぜこの場面に煙は必要なのかとか、光の当たり方や影がこうなっているのはなぜだろうと考えてほしいのです。分析しながら映像を観ることを「映像を読む」と私は言っているのですが、日頃から映像を読む訓練を積んでおけば、自分が映像制作で画づくりやアイディア出しをする際に必ず役立ちます。アイディアって、自分がいままでに見てきたものや経験してきたものの中からしか出てこないと思うんですね。だから、自分が魅力的だなと思う映像をできるだけたくさん観て(読んで)おいてください。
コンポジターやエフェクトアーティストをめざす人へ
映像業界の技術は日々進化しており、AIで3DCGを自動生成する技術も現れています。ちょっと前まではCGが映像に馴染んでいるだけで「すごい」と言われたのに、いまではさまざまな映像の中にCGがごく自然に溶け込んでいます。こうした時代において、これからのコンポジターやエフェクトアーティストに求められることは、技術の一歩先にある「表現力」を備えることです。すなわち、どうすればそのカットのメッセージが相手に伝わるのかを考え、それを画づくりに具現化できる力が必要です。なにを表現したいのかを突き詰め、「それ素晴らしいね」と思ってもらえるような画づくりが、映像としての価値を生んでいくのだろうと思います。
日本工学院CG映像科では、単に技術を教えるのではなく、なぜその画が必要なのかを学生自身が考え、誰かの人生に影響を与えられるような価値のある映像を作り出せる教育環境を整えています。映画、CM、ミュージックビデオなどの映像づくりが本気で好きなら、私たちの学びの輪に加わりませんか。私たちが必ずあなたをプロのコンポジターやエフェクトアーティストに育てます。
CG映像科
日本工学院をムービーでご紹介
ここがポイント!
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