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八乃醸(やのがもし)プロジェクト

八乃醸(やのがもし)プロジェクト八乃醸(やのがもし)プロジェクト

味も、ロゴも、パッケージも、パートナーと妥協せずに取り組み、
人を感動させるクオリティをめざせ!

研究室から飛び出して、課題と向き合う「八乃醸」プロジェクト。

バイオテクノロジーという言葉を聞くと、研究室の中にこもって顕微鏡にかじりついて、ひたすら実験を繰り返すようなイメージを持つ人が多いと思います。でも、実際には研究室の中で行われている作業はプロセスの一部にすぎません。食品の開発であれば、畑や農場といった生産地から出荷された原料が加工され、流通を経て消費者に届き、調理したものが食卓に並ぶまでに関わることになります。このプロセスの最初から最後までを学生たちが体験し、学ぶために立ち上げたのが「八乃醸(やのがもし)」です。

応用生物学科は「八乃醸」を立ち上げる前から、地域に学び地域で働く「地学地就」という方針を掲げていて、地域社会との連繋を模索していました。そのアイデアのひとつが発酵食品の開発です。「八乃醸」プロジェクトは、バイオテクノロジーを使った地域貢献という役割も担っています。「八乃醸」という名前の「八」は八王子から取りました。末広がりで縁起がいいし、最初は8人の学生が参加したことも「八」に決めた理由です。「乃」は真っ直ぐなさま、「醸」は発酵を意味します。8人の学生が真っ直ぐに課題と向き合い、真剣に取り組む想いを込めたプロジェクト活動が「八乃醸」なのです。

バイオテクノロジーを活用して、日本発の生ハム文化を発信する。

「八乃醸」という名前に負けない、応用生物学科抜きでは作れないインパクトの強い食品を作りたいと思い、他の人々をあっと驚かせようと様々な案をみんなで出し合いました。
そこで注目したのが生ハムです。八王子には東京Xというブランド豚の養豚場があるので、その肉に糀を使って生ハムを作ったら、日本酒に合う生ハムができるかもしれないと考えました。糀は日本や韓国にしかない、独特の味わいを持っています。地域の蔵ごとに日本酒の味が違うように、糀の違いで生ハムの味も変わるはずです。

いま、世界的な和食ブームの影響で、海外における日本酒の人気が高まっているため、欧米人が食べやすくて日本酒にマッチする食べ物が求められています。その一方で、日本人が本格的に肉を食べるようになってから、まだ150年くらいしか経っていません。国内における生ハムづくりの歴史は、わすか40年です。だから私たちが日本発の新しい生ハム文化を発信できる可能性は十分にあります。生ハムは熟成期間が長く手間のかかる食品ですが、味を設計して計画を立て、実験しながら進めていくのは理系の得意分野にほかなりません。職人の技や経験がない代わりに、バイオテクノロジーを活用できるのが私たちの強みなのです。

さまざまなパートナーとの連携により、ブランドの価値を磨く。

学生たちは、それぞれ自分のオリジナルブランドを立ち上げます。そこで、「八乃醸」プロジェクトにおける最初の作業は、ブランドのコンセプトを考えることとネーミングです。実験や研究とはかけ離れているかもしれませんが、企画やマーケティングについて知っておくことも重要です。出身地の糀や、国産のワインに合うように産地の糀を使うなど、自分なりのテーマを見つけてブランドを作るのは、難しいけれどワクワクする作業です。原料の調達も自分で行うため、コンセプトを具体化するために必要なものをイメージできなければなりません。

そして、「八乃醸」プロジェクトの大きなポイントは、地域の生産者や企業だけでなく、他学科の学生と連携して進めることにあります。ロゴやパッケージ、ウェブ(Web)の制作については、デザインカレッジ各学科とのコラボレーションが必要です。自分のブランドの価値を表現してもらうために、どんなものに仕上げたいかを正確に伝える必要があります。実際にビジネスの場でこうした業務を行う際には、期限やコストの問題があるため、どこかで妥協が必要になるでしょう。しかし、「八乃醸」は営利目的ではないので、お互いに対等な立場で納得がいくまで意見をぶつけ合うことができます。クオリティの高いものづくりを徹底してブランドの価値を上げるためには、パッケージやロゴデザインも魅力的でなければいけません。デザインカレッジの学生にとっても、やりがいのある課題です。

このように、「八乃醸」のクオリティを支えるには、自分一人の努力だけではなく、さまざまなパートナーとの連携が必要です。そして学生には、「八乃醸」を通じて連携する力を身に付けてほしい。それは、自分がやりたいことを正しく相手に伝える力です。そして、相手が持っているいいところを最大限にして引き出す力でもあります。それはまさしく、発酵によって米の美味しさを引き出す糀の働きと同じです。やがて就職して社会人として仕事をする上でも、その力は高い評価を受け、大きな武器になるはずです。

自分自身を投影して名付けたブランドは「羽立の姿」。

他人任せで流されがちだった私が、自分から主体的に動くことで、周囲を変えていけることに気付いたのは大きな収穫です。八乃醸プロジェクトに参加して私のオリジナルブランド「羽立の姿」を作る過程で、自分自身も大きく成長することができました。

応用生物学科2019年卒業 村竹美果さん

他学科との学生間コラボも実施

Webデザイン科の学生に依頼して作成した八乃醸(やのがもし)プロジェクトWebサイト

学生作品 八乃醸Webサイト 

「八乃醸」をブランド化し、伝統として定着させるのが目標。

食べた人を感動させるものを学生の手で作りたい、という想いからスタートした「八乃醸」の生ハム作り。熟成に時間がかかるため、ほとんどは仕込んだ学生の在学中に完成しません。でも、生ハム作りを始めてから卒業生が連絡をくれたり、様子を見にきたりすることが増えて、先輩後輩の繋がりが深まってきました。このプロジェクトがずっと継続することで、一つの伝統になってくれればいいと思います。

バイオテクノロジーは、さまざまな分野に応用できる学問です。食品から農業、工業、医薬など、産業との関わりは多岐にわたっています。特に食品において日本は発酵大国であり、日本酒はもちろん、鰹節、納豆、漬物のほか、チーズやワインなど海外の発酵食品も食卓に定着しています。小規模でも素晴らしいクオリティのものづくりをしている企業と組んで、お互いのいいところを引き出して、共に輝けるようなコラボレーションを実現していきたい。そこに「八乃醸」の未来が広がっています。

まずは、日本工学院発のブランドとして認知浸透をはかることです。八王子の道の駅や東京の百貨店などに「八乃醸」の生ハムが並ぶ日を夢見ています。



応用生物学科
科長:田中秀幸